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維新の党内紛、代表選前倒しして原点を問え


 維新の党で内紛が生じている。地方選で党が推薦しないと決めた候補予定者を柿沢未途幹事長が応援したことをめぐって、党顧問の松井一郎大阪府知事が幹事長辞任を求め、柿沢氏が続投する場合は顧問を辞任する考えを示した。

 党最高顧問の橋下徹大阪市長は公開討論会を提案した。が、討論では決着はつくまい。11月1日の代表選を前倒しして結党の原点を問い直すべきだ。

幹事長の辞任求める声

 直接の引き金は山形市長選(9月13日投票)に民主・共産・社民・生活の各野党の推薦を得て立候補する元防衛省職員・梅津庸成氏の応援に柿沢氏が訪れたことだ。地方首長選だが、野党側は国会で審議中の安全保障関連法案を争点化し、同法案に反対して政府・与党と対決するための選挙に位置付けようとしている。

 維新の党は安保関連法案の対案5本を参院に提出し、自民・公明の与党は修正協議を再開する方針である。柿沢氏の行動はこうした動きに水を差すものだ。しかも、幹事長の行動だけに、党紀に重大な問題がある体質を示したと言える。

 このような問題は、大阪維新の会というローカルパーティーから日本維新の会として国政進出した後、分裂を経て結党した経緯に主な原因がある。5月の大阪市での住民投票で大阪都構想に賛成多数を得られなかったことから橋下市長が政界引退を表明、これを受け江田憲司代表も辞任するという変転も影響していよう。

 特に橋下氏の引退表明が尾を引いている。通常国会の途中に地方都市政策構想の頓挫が国政に携わる党執行部を巻き込むことは、国政政党として本来はあってはならない。

 江田氏がみんなの党を割って率いた結いの党と日本維新の会の昨年衆院選前の合併では、反対した日本維新の会の議員らが次世代の党を結成した。これで維新の党内では野党再編論者が勢いづいたと言えるが、有権者の目には議席温存のための延命術にしか見えない。

 江田氏の辞任によって民主党離党者の松野頼久氏が幹事長から代表になり、幹事長にはみんなの党離党者の柿沢氏が就任した。だが、大阪維新の会を核とする大阪選出の議員グループには結党精神に照らして不満があるのも理解できる。

 このような党内の混乱が生じた背景には、江田氏の辞任後に代表選を行っていないことがある。維新の党の基本政策は、憲法改正による統治機構改革・道州制導入、規制改革による成長戦略、集団的自衛権の検討を含む「自衛権」行使の範囲の適正化、教育制度改革などだ。橋下氏は安倍政権とのパイプを維持している。

党員が納得する新体制を

 また国政進出に当たっては、反対に終始する抵抗野党ではなく、是々非々を貫く責任野党としてスタートしてもいる。

 このような原点を問い直す代表選を実施し、党員が納得する新体制を発足させて有権者が失望する分裂や大義なき再編を回避すべきだ。国政と地方行政に貢献していくためにも、混乱の収拾を急ぐ必要がある。

(8月27日付社説)