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改革の本丸へ本格準備を


衆院選 自公圧勝 ~課題と展望~(下)

 自民・公明両党が衆院選圧勝で信任を得たことを受け、第3次安倍内閣が24日に発足する。安倍晋三首相は2014年度補正予算案と15年度当初予算案を早期に編成するため、全閣僚を再任させる意向だ。

 衆院選に伴う予算編成の遅れを取り戻し来年1月14日の閣議決定にこぎつけたい考えで、通常国会前半は予算案の年度内成立に全力を傾注する見通しである。

 焦点は、集団的自衛権行使を認めた7月の閣議決定を踏まえて提出される安全保障関連法案を扱う後半国会だ。首相は「(選挙戦で)法整備の必要性を訴え、支持をいただいた。約束実行は使命だ」と強い姿勢を示した。

 しかし、中東地域のシーレーン(海上交通路)で停戦前の機雷掃海が必要になった場合の対応に関し、閣議決定した新たな武力行使の3要件に当てはまるかどうかを個別に判断する考えでは一致したものの厳格に歯止めをかけたい公明と自民との間に違いがあり、選挙戦でも温度差が露呈した。

 「自民党が慎重な対応を求める公明党をどこまで説得し調整できるのか。与党協議で意思統一できなければ野党側にはもっていけない」(自民党中堅)。並行して進められる日米防衛協力のための指針(ガイドライン)見直し作業も日米同盟強化に欠かせない懸案だ。

 「地球儀を俯瞰(ふかん)する」首相の「積極的平和主義」外交の磨きもかけねばならない。国際法に則(のっと)らず力ずくで現状変更を画策する中国を包囲する外交は奏功し、国際的な支持を得ている。4月には沖縄県尖閣諸島を日米安保条約の適用範囲であることを米側に明確に認めさせ、日米豪にインドを加えた安全保障体制の構築も進んでいることは政権の実績である。

 来年は戦後70周年であり、中国や韓国との関係改善が叫ばれよう。首相は歴史的事実を歪め媚びることなく外交の足場を固めた上で双方が「ウィン・ウィン」となれるようなアプローチを心掛けるべきだ。一方で、北朝鮮による邦人拉致問題の解決に向けては引き続き具体的な調査内容の提示を迫っていかねばならない。

 安倍首相は対中包囲網を確実にした5月のシンガポールで開催されたアジア安全保障会議で「アジアの平和と繁栄よ、永遠(とこしえ)なれ」とのタイトルの講演を行い、「私には経済政策をはるかに超えたミッションがある。それは未来を担う新しい日本人を育てる事業だ」と語った。

 そしてその「新しい日本人」の姿とは「無私・無欲の貢献を喜びとする人間」「アジア・太平洋地域の平和と秩序の安定を自らの責任として担う気構えのある日本人」などといくつも例示した。そうした人間を育てるためには現在下村博文文部科学相が主導して進めている道徳教育の一層の強化による教育再生が不可欠である。

 今回、自公合わせて3分の2を超える326議席を獲得したことで、憲法を改正するための改正原案の発議に必要な議席を衆議院では占めることになった。

 首相は15日の記者会見で憲法改正について「国民的な理解と支持を深め、広げていくために努力していく」と語ったが、「日本を取り戻す」ための改革の本丸に乗り込む準備を本格化させる時に来たと言える。

(政治部・繁田善成)