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民主党は当事者意識を持て


 安倍晋三首相の所信表明演説を受けた各党代表質問が衆院本会議で始まった。

 安倍政権が「成長戦略実行国会」と名付けた国会だけに、国民の関心の高い経済が来年4月の消費増税に持ちこたえうるのか、野党側も問題意識を持って論戦を挑んでほしい。

批判に終始した海江田氏

 ところが、最初に代表質問に立った民主党の海江田万里代表は、東京電力福島第1原発の事故処理をめぐる汚染水漏れ問題、消費増税に伴う経済対策、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更の検討などを取り上げ、安倍内閣への批判に終始した。

 衆参と続いた国政選挙で惨敗した民主党が批判のみの野党に堕しては、政党としての責任感の退化は著しいと言わざるを得ない。

 原発事故処理問題、消費増税関連法の成立、集団的自衛権行使容認を検討せざるを得ない我が国周辺の安保情勢の悪化など、すべて民主党政権下で起きたことである。当事者意識を持った論議で政権担当能力を示す努力がほしいところだ。

 これを踏まえれば、首相が国際オリンピック委員会(IOC)総会で汚染水を「コントロールしている」と発言したことを、海江田氏が「言葉が極めて軽い」と責め立てるのはおかしい。原発事故発生当時に政権の座にあって現場の混乱を招き、処理を遅らせた民主党が「コントロールできるはずがない」と言うに等しく、このような追及では信頼回復は難しいだろう。

 消費税の税率を8%、次に10%に引き上げることも、民主党政権下で決まった。そうであれば、増税に伴う景気への打撃に対策を打つことを当事者として考えて当然である。

 海江田氏は、首相が打ち出した5兆円規模の経済対策について「不要不急の公共事業」が増えると批判した。だが、むしろ必要な公共事業は何かを洗い出し、民主党も成長戦略を提案すべきだ。

 ただし、海江田氏が雇用分野の規制緩和について「雇用を不安定化させるばかりでは、企業収益が伸びても賃金は下降し、景気の好循環は生まれない」と指摘したことは重要で、チェックする役割を果たしてほしい。規制緩和は「悪貨が良貨を駆逐する」弊害を伴う場合があるからだ。

 我が国産業界が良質なサービスや製品を提供していくには、労働環境が良くなければならない。首相も所信表明演説で「経済の好循環を実現するため、政労使の連携を深めていく」と述べており、民主党は各産業の現場状況を把握するパイプを持っている。派遣や契約社員など非正規労働者には働き具合によって正社員へのステップが開かれるべきだろう。

「護憲」は通用しない

 一方、首相の掲げる「積極的平和主義」に対する海江田氏の「平和主義という日本のブランドを壊す可能性がある」との批判は、まったく当たらない。

(10月17日付社説)