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【社説】名護市長選 沖縄と日本の平和守る選択を


名護市

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設予定地の辺野古を抱える名護市長選が、あす告示される。

 辺野古移設に関しては賛否が割れているが、有権者には沖縄そして日本の平和と安全を守るための選択をしてほしい。

 コロナ拡大で情勢に影響

 名護市長選は、自民、公明の与党が推薦する現職の渡具知武豊氏と、玉城デニー知事を支える「オール沖縄」が推す新人の岸本洋平氏の一騎打ちとなる見通しだ。岸本氏が辺野古移設反対を唱えるのに対し、渡具知氏は賛否を明確にしていないが、事実上移設を容認している。

 やはり移設が最大の争点となった2018年の前回市長選は、移設を推進する当時の安倍政権と、革新系反基地勢力を率いる翁長雄志知事(当時)による「代理戦争」の構図となった。渡具知氏が現職だった稲嶺進氏を大差で破ったために「オール沖縄」陣営にとっては大きな痛手となった。

 本土復帰50年となる今年は、沖縄で重要選挙が続く「選挙イヤー」だ。名護市長選を皮切りに、夏には参院選、秋に知事選が行われるほか、那覇市や宜野湾市でも市長選が控えている。どの選挙も辺野古移設に大きな影響を与えよう。

 かつて翁長氏を強力に支持していた「オール沖縄」だが、共産党の主導が目立つ中、翁長氏と行動を共にしていた一部保守系議員や経済界の重鎮が玉城氏への支援を取りやめる動きが出ている。昨年10月の衆院選では、与党が名護市を含む沖縄3区の議席を奪還。市長選を制して参院選や知事選へ弾みをつけ、辺野古移設の着実な進展につなげたい考えだ。

 ただ、ここにきて新型コロナウイルスの感染急増で選挙戦略に狂いが生じかねない状況となっている。自民党は茂木敏充幹事長や河野太郎広報本部長を現地に投入する予定だったが、いずれも感染再拡大を受けて取りやめた。

 沖縄での感染急増は、米軍の緩い対策が引き金になったとされる。市長選で移設問題と結び付けられた場合、渡具知氏が苦戦するとの予想も出ている。

 米軍の対策の甘さによって感染が広がったのであれば残念なことだ。米軍には対策を徹底してもらいたい。しかし、このことで辺野古移設への反対が強まるとすれば見過ごせない。

 覇権主義的な動きを強める中国の習近平国家主席は、台湾統一を「歴史的任務」と主張し、武力統一も排除しない姿勢を示している。中国が台湾に侵攻した場合、東シナ海の制空権、制海権を確保するため、沖縄県の尖閣諸島を含む先島諸島を奪取することも考えられる。米軍の抑止力を維持することは、沖縄の平和と地域の安定にとって死活的に重要である。

 一日も早い危険性除去を

 一方、普天間飛行場は住宅密集地に立地しているため「世界一危険な米軍基地」と言われ、一日も早い危険性の除去が求められる。

 ここで辺野古移設を中止すれば、基地負担を軽減することも難しくなろう。こうしたことも念頭に、有権者は投票に臨んでもらいたい。