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【社説】新年の日本経済 再生に警戒要す感染「第6波」


伊勢神宮の参拝を終え、年頭の記者会見をする岸田文雄首相4日午後、三重県伊勢市(代表撮影)

 新年2022年の日本経済がスタートした。20、21年と新型コロナウイルスの感染拡大に振り回されたが、今年はどんな展開になるか。

 新しい変異株「オミクロン株」の市中感染が各地で確認され、全国の感染者数も増加傾向にある。経済活動の正常化を目指す岸田文雄政権にとっては早くも訪れた正念場である。「第6波」を大きな波に至らせず、正常化の動きを確実にしたい。

新規感染が1000人超

 4日の東証大発会は、日経平均株価の終値が前年末に比べ、510円08銭高の上昇スタートとなった。一方、オミクロン株による感染が広がり、全国の新規感染者数も4日は3カ月ぶりに1000人を超えた。

 専門家からは感染「第6波」到来の見方も出ている。今の拡大傾向が大きな波になるのか、それとも小さな波にとどまるのか。岸田首相は年頭の会見で「特に慎重に取り組まなくてはならない」と述べ、コロナ対策に万全を期す考えを表明した。

 岸田政権は昨年末に一般会計総額が107・6兆円と過去最大の22年度予算案を閣議決定し、21年度補正と一体の「16カ月予算」として編成。歳出の合計は143・6兆円に及ぶ。同政権が掲げる「成長と分配の好循環」に向けた具体策と、長引くコロナ禍の対策に重点配分したためである。

 端的にいえば、コロナ禍で傷んだ経済の再生と、分配を可能にする成長基盤の整備であり、当面の目標とするところは「経済活動の正常化」である。

 ただ、正常化はコロナの収束が大前提。コロナ禍2年目の昨年は、緊急事態宣言が繰り返され、正常化どころではなかった。8月を中心に変異株「デルタ株」が猛威を振るい、正常化への歩みが始まったのは、緊急事態宣言が全面解除となった10月以降である。

 補正を含む今回の予算では、感染者数が増加しても実施可能な政策は、もちろん少なくない。分配の柱である看護、介護、保育分野などの賃上げ、「好循環」実現へ分配の元となる持続的成長の基盤を整える科学技術振興、地方のデジタル化促進策などである。

 特に成長戦略に絡む「経済安全保障」「科学技術立国」「デジタル田園都市国家構想」に関する施策は、中国が覇権主義的傾向を強める中、自前の技術育成や半導体をはじめとする戦略物資・製品のサプライチェーン(供給網)の強化、量子暗号通信の研究開発など国家の存立にも関わる重要かつ不可欠なものである。専門家からは海外主要国に比べて投資額が少なく力不足との指摘もあるほどである。

好循環へ正常化実現を

 とはいえ、経済の再生には消費、投資、生産など全般的な経済活動の正常化が欠かせない。個人や家計で所得が増えることで消費が増え、企業が投資(生産)を増やすという好循環は、正常化が成ってこそ実現することができる。

 2回のワクチン接種が進み、3回目も始まっている。2月には経口薬も登場し、これまでのような感染爆発にはならない可能性もあるが、警戒を怠らず、感染拡大防止に努めたい。