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【社説】入国制限緩和 煩雑な手続きや行動制限


入国

 海外とのビジネスや経済活動の活発化のために新型コロナウイルスの水際対策が緩和された。これまで入国者に求められてきた原則14日間の自宅待機期間が、条件付きで3日に短縮された。歓迎すべきことだが、手続きが煩雑で入国者や受け入れ側の負担は重く、対策緩和の実効性が問われる。

 計画書を事前に提出

 政府は水際対策として、入国者に入国前のPCR検査、入国後の検疫での抗原検査、14日間の待機などを義務付けてきた。10月1日からはワクチン接種証明などを条件に10日間に短縮されたが、待機期間中はスマホアプリのビデオ電話などによる居場所や健康状態の報告を求められ、行動を管理される。

 今回、ビジネス目的の入国・帰国については待機期間が3日間に短縮された。原則禁止されていた外国人の新規入国が認められ、技能実習生や留学生の入国も認められるようになった。

 しかし、待機期間が3日間に短縮されたとはいえ、そのための手続きが極めて煩雑だ。ワクチン接種証明などに加え、待機3日間が過ぎた後の7日間の通勤先や立ち寄り先を行動計画書に書いて事前に提出しなければならない。また、その期間中は公共交通機関は利用できない。このほか職場ではできる限り個室環境が求められるなど、本人および周囲にさまざまな活動制限が求められる。

 入国後、抗原検査が行われ、スマホアプリによる行動管理が継続されるのに、さらにこのような面倒な措置が必要なのだろうか。水際対策としては、屋上屋を架すものであり、その負担は入国者と所属企業や受け入れ先にかかってくる。

 新型コロナの感染は日本では下火となっているが、欧州などで再び拡大している。海外からは特に変異株の流入が心配される。この意味で、水際対策はしっかり行わなければならない。しかし、追加措置にどれだけの科学的必然性があるのか。

 入国前にPCR検査を受けている入国者は、未検査やワクチン未接種の日本人より、はるかに陽性の確率は低いはずだ。にもかかわらず、3日間の隔離、7日間の行動制限は、ほとんど疑似感染者の扱いに近い。

 このような煩雑な手続きや制限は、ビジネス目的の人の往来の足を引っ張ることになりかねない。事実、ワクチン接種などの条件付きで待機期間が14日間から10日間になった際も、本人負担で再度のPCR検査を受けて陰性証明を検疫に通知する必要があった。このため、残り4日間も待機することを選ぶ人も少なくない。

 海外の水際対策を見ると、米国ではワクチン接種をしていれば到着後の検査で陽性とならない限り、隔離は求められない。ドイツやフランスは日本から入国する場合、ワクチン接種か陰性の証明があれば問題ない。

 待機期間後の制限緩めよ

 これら欧米諸国に比べ、日本の水際対策は極めて厳しいものである。世界的にビジネス往来が再開してきている中で、日本が後れを取らないためにも、煩雑な手続き、3日間の待機期間以降の行動制限は緩和する必要がある。