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野党4党合意、安保法制廃止は亡国の選択


 立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組の野党4党が、衆院議員選挙での協力に向けて市民団体「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)と政策合意を行った。しかし、安保法制廃止を訴え、憲法改正にも反対する政策は、安全保障環境がますます厳しくなる情勢において亡国の選択にほかならない。

旧態依然とした護憲政策

市民連合から野党共通政策の提言を受け、発言する立憲民主党の枝野幸男代表(右端)=8日午前、参院議員会館

 政策合意を受け、4党と市民連合は近づく衆院解散をにらみ小選挙区での候補者一本化の調整を急ぐ構えだが、打算的な票数の足し算は与党への反対のための反対にすぎず、有権者の期待から依然として遠いとみえる。衆院選の前哨戦となった東京都議会選挙で立民と共産は既に選挙協力したが、画期的前進に至っていない。

 争点として新型コロナウイルス変異株の感染拡大から東京五輪・パラリンピックの中止を掲げ、共産は前回と同じ19議席。立民は改選前8議席から15議席に伸ばしたが、これは立民の母体である民主党が政権を失った直後の2013年都議選で、改選前43議席が15議席に激減した当時の議席と変わらない。

 高齢化で目減りしてきた戦後の左翼票を奪い合うより選挙区ごとの共有に転じる各党の事情はあるが、政策合意の筆頭は「憲法に基づく政治の回復」と称する旧態依然とした護憲政策であり、憲法9条至上主義だ。特に15年の安保法制反対運動で野党と市民連合が連帯した経緯から、政策合意でも「憲法違反」と主張する安保法制などの廃止を掲げた。

 安保法制では、わが国の自衛措置においてわが国だけでなく同盟国への攻撃に対しても必要最小限の武力の行使を許容されると政府は憲法解釈を変更し、国際法上の集団的自衛権の行使を一部容認するものとして当時は議論を呼んだ。

 しかし、同法制定から6年足らずで、中国、ロシア、北朝鮮は軍事力を高め、とりわけ著しい軍拡を遂げている中国は「台湾統一」を目標に周辺海域で露骨に「力による現状変更」の試みに出ている。日米安保条約に基づく日米同盟をはじめ、「自由で開かれたインド太平洋」戦略に協力する英仏独豪の艦艇など各国軍との協力を強める上で安保法制はますます重要になっている。

 アフガニスタンからの米軍撤退について批判はあるが、バイデン米大統領は「アフガン軍が自ら戦おうとしない戦争で米国の兵士は死ぬことができない」と演説した。左派政権の韓国、リベラルな民進党政権の台湾では、アフガンの事態を契機に自己防衛強化の動きに出ている。4野党はこの点を見習うべきではないのか。

 民主党政権時の反省なし

 4野党のうち立民と社民は民主党中心連立政権で領土危機を招いている。中国船の沖縄県・尖閣諸島沖領海侵犯、韓国大統領の島根県・竹島上陸、露大統領の北方領土入りなどだ。在沖縄米軍普天間基地の辺野古移設を白紙化するなど離米政策を取り、日米同盟が揺らいだ隙を突かれた。その反省が無いに等しい政策合意であり、政権選挙の選択肢にしてはならない。