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デジタル庁開庁 誰もが恩恵受ける環境整備を


マイナンバーカードの健康保険証としての利用に使う「顔認証付きカードリーダー」のデモを体験する平井卓也デジタル改革担当相(当時、手前)=2020年11月2日、厚生労働省

 デジタル政策の推進に向け、政府の司令塔となるデジタル庁が開庁した。デジタル情報網の整備によって、国や地方の縦割り行政の弊害克服や、行政サービスの飛躍的な向上を期待するとともに、国、地方自治体、地域社会、個々人がさまざまに繋(つな)がり合うデジタル化の恩恵を全国に浸透させてほしい。

マイナカード普及が課題

 デジタル庁は600人規模で、戦略・組織、デジタル社会共通機能、国民向けサービス、省庁業務サービスの四つにグループ分けされ、デジタル化の推進に取り組む。各省庁や地方自治体それぞれが構築したシステムの共通化を推進し、デジタル社会を形成するための企画立案をして他省庁に是正勧告するなど総合的な調整を行う。

 その際、とりわけ大事なのは住民1人1人にサービスが行き届くことだ。「誰もがデジタル化の恩恵を受けられる社会をつくる」ことが、デジタル庁創設を柱とするデジタル改革関連法制定の目的であり、デジタルデバイド(情報格差)の解消は大きな課題になる。

 菅義偉首相はデジタル庁開庁を前に「スマートフォン一つで役所に行かずともあらゆる手続きがオンラインでできる社会」を目指すと表明した。その利便性の大きな前提となるのはマイナンバーカード制度だが、普及に時間がかかっている。

 総務省がマイナポイントの付与対象になるマイナンバーカード申請期間を4月末に締め切り、5月にマイナンバーカードの交付率は30%を超えたものの4割には今なお届いていない。政府は来年度末までに全ての住民への普及を目標としており、交付する区市町村による知恵を絞った対応が必要だ。

 菅内閣がデジタル政策を看板政策に掲げた引き金になったのは、新型コロナウイルス感染拡大だ。役所窓口の対面受付を減らすことによる「密」の回避、遅いと批判を招いた給付金支給の迅速化、ワクチン接種における病院と保健所との情報共有、在宅勤務(テレワーク)の推奨などが求められる。

 その中で、すでに生じているデジタルデバイドのため取り残される人々への懸念もある。これまで端末や通信環境の整備は商業ベースで進行していたが、市場任せでは限界だ。パソコン(PC)や携帯端末を通じた行政サービスの利便性向上を国策として追求する以上、特に高齢者、経済弱者に行政のしっかりとした後押しを願いたい。

 また、将来のデジタル化社会に国民すべてが対応するためには、学校での子供たちに対するデジタル教育が必然だ。文部科学省の「GIGAスクール構想」は、小中学校での児童生徒1人1台の端末配備や、学校での高速大容量通信環境、コロナ禍のような緊急時の家庭でのオンライン学習環境などの整備を進めるものだ。早期実現が求められよう。

 地方でも暮らしやすく

 デジタル活用は地方、地域の特性を反映したきめ細かい災害警報、安全対策、生活の利益になる情報を発信し、地方でも暮らしやすい未来を創造し得る。一極集中を是正し、多極分散の国土を実現すべきだ。