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人口減少対策、首都機能移転を大胆に進めよ


 総務省公表の住民基本台帳に基づく2021年1月1日現在の日本人の総人口は、前年比42万8617人(0・34%)減の1億2384万2701人で、12年連続の減少となった。

 ただ一極集中が続いてきた東京都の人口増加率は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で前年よりも鈍化した。これを一極集中の是正につなげたい。

 東京の増加幅が縮小

 日本人の出生数は84万3321人で5年連続で過去最少を更新。死亡者数を引いた「自然減」は53万608人で13年連続で拡大している。一方、帰国者数から出国者数を引くなどした「社会増」は10万1991人で過去最大だった。海外の入国制限で、日本から出国する人が減ったことが原因だろう。

 都道府県別に見ると、人口が増えたのは埼玉、千葉、東京、神奈川、沖縄の5都県。ただ、東京の増加幅は2万6807人縮小した。

 これに対し、人口が減った42道府県では全てで減少率が縮小し、千葉県と埼玉県は減少が増加に転じた。背景には、新型コロナの影響でテレワークが広がるなどし、都外へ転出する人が増えたことがある。

 人口減少の一因として、合計特殊出生率が都道府県別で最低の東京に人口が集中していることが挙げられる。コロナ禍で生じた地方移住の流れを本格的なものとし、人口減少の抑制に結び付ける必要がある。

 政府は東京一極集中の是正に向け、24年度までに東京圏の転入超過を解消して地方との転出入を均衡させる目標を掲げている。これまで地方に移転する企業の税制優遇措置や移住者への支援給付などを進めてきたが、大きな成果は出ていない。

 このままでは、コロナ禍の収束後に東京一極集中の流れが再び強まりかねない。地方移転を後押しするには、テレワーク促進策のほか、首都機能分散を大胆に進めることが求められる。

 安倍前政権でも政府関係機関の地方移転は目玉政策の一つだったが、大規模なものは文化庁の京都市移転のみだった。首都直下地震が今後30年間で70%の確率で発生すると予測されている中、危機管理上も首都機能移転は重要だ。

 人口が減少すれば、地方では経済が停滞して行政サービスも低下するだろう。かつて「日本創成会議」が、若年女性(20~39歳)の減少によって全体の約半分を占める896自治体が「将来消滅する可能性がある」との推計を出して衝撃を与えたことは記憶に新しい。

 日本全体でも、産業を支える生産年齢人口の減少で労働力が低下するほか、高齢化の進展による社会保障費の増大で現役世代の負担が重くなるなどの問題が生じる。人口減少を食い止めなければ国家的危機を招く恐れがある。

 価値転換に向けた政策を

 少子化の要因としては東京一極集中のほか、非婚化や晩婚化が進んだことが挙げられる。背景には、戦後の日本社会で個人主義が蔓延(まんえん)し、結婚の優先順位が低下したことがある。結婚や家族の素晴らしさを伝え、価値転換をしていくための政策が求められる。