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安定した安倍内閣 実力者を好まない自民党


 厳しい冬も去りつつある。寒い寒いといいながら、やっぱり春を感じるきょうこの頃だ。ところで永田町の春はどんなものなのか。もちろん花鳥風月とは関係ない。一般論と変わりなく、永田町には永田町の春がある。

 永田町の春とは与野党が元気になるということだ。永田町も冬は一種の冬眠時期を迎える。各党の主張も不活発だ。動きも鈍い。しかし春風とともに各党目覚めてくる。万事に敏感になり、対応が早い。各党の離合集散が起こり易くなり、時には政変を招きかねない。永田町は普段から不安定なところだが、このシーズンは特に動揺しがちだ。

 さて、去年一パイ永田町は無事平穏だった。小さな波乱はどの政党にも見られたが、政局に異状をもたらすような大騒動には至らなかった。なにしろ与党の自民党のひとり勝ちだ。肝心の野党は小党分裂気味の上に足並みさえ一致しない。

これでは衆参両院とも過半数を確保している連立与党には手も足も出ない有様だ。かくて永田町は日々平穏な状態のまま一年を送り迎えしたことになる。

 永田町は放っておくと、だんだんなまけものになる性格を持っている。与党も野党も現状維持が一番有り難いのだ。一番イヤなのは選挙だ。これは日頃仲の悪い与野党の間でも完全に意見が一致する。

 だから、今年も去年と同じように無事平穏に推移すると予想する識者が少なくない。しかしこれは大間違いだ。政界ほど有為転変の激しいところはない。バッジをつけた先生たちは解散と聞くと震え上がるし、一票を持つ有権者は秋の風のように頼りない。選ぶ側も選ばれる方もこんな具合なのだから、永田町の毎日は薄氷を踏む思いだ。

 もうひとつ加えるなら、安倍内閣が意外に好評なことを忘れてはならない。このところ一年そこそこの短命内閣が続いた。安倍内閣は例外だ。国民は滅多なことでは袖にしないだろう。

 そんなこんなで安倍内閣は長命の相がある。野党も声だけはやたらに大きいが、本当に安倍政権を打倒するには実力不足の気味を免れない。いろんな見方や推測が乱れ飛んでいるが、安倍短命説は少数意見だ。 野党攻勢は切り抜けても、切り抜けられないのが党内の反安倍の空気だ。外敵は防げても手に余るのは党内情勢だ。

 自民党は実力者を好まない。安倍政権の中でむしろ石破幹事長は弱者の部類に入る。しかしそれが長命の所以であることを忘れるなかれだ。(I)