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国民投票法案可決 実質的な改憲論議に入れ


 憲法改正の手続きに関する国民投票法改正案が衆院憲法審査会で可決された。11日に衆院を通過し、参院に送られる予定だ。改憲に向けようやく一歩前に動いた点は評価したい。一方で、改正案に誤解を生みかねない付則を明記するなど「成立ありき」の印象も否定できない。国会は改正案の会期内成立を図りつつ、実質的な改憲論議に入ることを怠ってはならない。

 修正内容には懸念も

 同法改正案は、国会から発議された改憲案の是非を問う国民投票の利便性を公職選挙法とそろえるのが目的で、平成30年に与党・日本維新の会が国会に共同提出した。しかし、その後、8国会にわたって継続審議となってきた。立憲民主党や共産党が審議拒否をし政局に利用してきたからで、その責任は極めて大きい。

 今回、改正案の成立へ動きだしたのは、自民党の二階俊博幹事長と立憲の福山哲郎幹事長が会談し、6月16日までの会期中に成立させるとの文書を交わしたためだ。自民、立憲双方にいつまでも結論を出さなければ国民からの強い批判を回避できないとの思惑がそれぞれの立場から働いたためだろう。

 ただ、一つの節目を迎えることのできる意義は小さくない。各党は今後、改憲論議を加速させ深めて改憲原案の作成に向けて尽力しなければならない。

 懸念されるのは、決着の仕方だ。成立を急ぐべきなのは当然だが、立憲の要求を付則という形で盛り込むことに二階氏は歩み寄った。その修正の影響により、改憲原案の作成や国民投票を実施する時期に遅滞が生じないかだ。

 修正内容は、国民投票の公正性を確保するためにCMやインターネット広告、外国人寄付の規制について「改正法施行後3年をめどに検討を加え、必要な法制上の措置を講じる」というもの。立憲は早くも「施行後3年」という期間は検討をするだけで改憲の発議はできない、などと牽制(けんせい)している。

 しかし、それは違う。改憲原案の発議は、憲法上、国会の重要な任務である。それを審判する国民の権利が封じられることもあってはならない。

 問題なのは、立憲が改憲に消極的なことだ。「権力を抑制し、国民の権利の拡大に寄与する」のであれば改憲論議に応じてもいいといった高飛車な姿勢は改めるべきである。

 新型コロナウイルスの感染拡大、中国や北朝鮮などによる武力攻撃の可能性、サイバーテロを含む大規模テロ、大規模自然災害が連続して起こるかもしれない今ほど危機管理が求められている時はない。これらに対処するための緊急事態条項を憲法に新設するよう求める国民の声が強まっているにもかかわらず、党内議論をせず党改憲案をまとめようとすらしないのは怠慢ではないか。

 早く本体議論に移れ

 国民の命を守り国を存続させるために憲法改正は待ったなしだ。19日にも参院で同法改正案の審議が始まる見通しだが、修正部分の解釈論争を延々と繰り広げるようでは駄目だ。憲法本体の議論に早く移ることが肝要である。