世界日報 Web版

憲法記念日 自衛・緊急事態明記し改正を


 74回目の憲法記念日を迎えた。新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)は収まらず、東京、大阪の大都市圏では昨年と同様に緊急事態宣言の中にある。一方、わが国周辺では中国の覇権主義的行動が一層強まるなど緊張が高まっている。自衛や緊急事態について日本国憲法に明記する改正をきちんと考えるべきである。

 国家緊急権が規定されず

 わが国が第2次世界大戦に敗北し、米軍はじめ占領政策を進めた連合国軍総司令部(GHQ)の指導で制定された現憲法は、独立国の権利であり国連憲章も認めている個別的・集団的自衛権を受けた規定がない。

 逆に、国権を発動した戦争の放棄と陸海空軍その他の戦力の不保持を9条に規定した。また旧憲法に定められていた緊急勅令、財政処分、非常大権はなくなり、それに代わる国家緊急権は規定されなかった。

 この条文のままで70年以上たつのは異常なことだ。自民党は安倍前政権下で①自衛隊明記など9条改正②緊急事態条項③参院選「合区」解消④私学助成の合憲性など教育充実――を求める改憲4項目を提案した。国会の憲法審査会は国民投票法改正案を速やかに採決し、改憲案の審議に移ることを期待したい。

 わが国周辺の安保情勢など現状と憲法の乖離(かいり)はますます広がっている。中国の力による現状変更が東・南シナ海をはじめ世界各地で強まる中、わが国においては沖縄県・尖閣諸島の有事を想定した自衛隊と米軍との共同訓練が調整されているのをはじめ、「自由で開かれたインド太平洋」構想推進に向けたクアッド(日米豪印)の安全保障上の連携が急務になっている。

 「今後6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」と米軍当局者が警鐘を鳴らす台湾有事は、日本有事にも直結する。菅義偉首相とバイデン米大統領との首脳会談で「台湾海峡の平和と安定」が共同声明に盛り込まれたが、自衛隊および日米同盟の役割はこれまで以上に高まっている。

 国家緊急権規定の必要性は関西の大都市圏を直撃した阪神大震災によって論議に上ったが、その後、それ以上の巨大災害である原発事故を含む東日本大震災、新型コロナウイルス感染拡大など未曽有の有事に遭遇している。政府の対処が後手に回るのは、憲法に非常事態に対処する規定がないことも原因だ。

 時代は新しくなり国際情勢は大きく変化したにもかかわらず、各党の憲法をめぐる議論は古いままだ。現憲法の施行後、これを「平和憲法」と称する護憲運動が主に旧社会党・共産党など左翼勢力の反戦反米運動と結び付き、自衛隊を憲法違反だと糾弾して日米安保条約と共に長らく反対した経緯がある。

 与野党協力で改憲発議を

 今日では立憲民主党・共産党などの野党共闘を形成しているが、仮に連立を組んで自衛隊、日米安保条約を維持するならば、9条の矛盾した文言に解釈を加えるより、すっきりと書き改めるのが立憲主義の在り方ではないのか。憲法を政争の具にせず、与野党が独立国に相応(ふさわ)しい憲法を目指し、協力して国民に改憲発議してほしい。