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温暖化対策 原発の活用が欠かせない


 菅義偉首相が米国主催によるオンライン形式での気候変動サミット(首脳会議)で演説し、2030年度の温室効果ガス削減目標を現行の「13年度比26%減」から「同46%減」に大幅に引き上げる方針を表明した。

 温室ガス「46%削減」

 サミットは、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に復帰した米国が主導。首相は「世界のものづくりを支える国として、トップレベルの野心的な目標を掲げることで、世界の脱炭素化のリーダーシップを取っていきたい」と決意を述べた。

 温暖化が進む中、全世界で自然災害が増えて大きな被害が生じている。対策強化が必要であることは確かだ。パリ協定は、世界の気温上昇を産業革命前から1・5度に抑える努力目標を掲げている。首相は昨年10月、温室ガスの排出量を50年までにゼロとする目標も掲げた。

 首相が今回、新目標を打ち出したのは、温暖化対策に積極的なバイデン米政権が誕生した影響によるものだ。しかし、新たな目標の達成は簡単ではない。経済産業省によれば、この数字は30年時点で予想される再生可能エネルギーや火力、原子力などの電源構成を基に算出した数値ではない。

 新目標の設定を急ぐあまり、その根拠があいまいになったことは否めない。混乱を招かないためにも、今年11月に英国で開かれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に向け、目標達成への調整を急ぐことが求められる。

 一方、脱炭素化の流れが世界的に強まる中、国内の火力発電所の設備容量は30年度までに1300万㌔㍗分以上減る見通しだ。この減少分は原発13基分に相当するという。電源構成の7割を占める火力への依存度を引き下げるため、代替電源をどう確保するかが課題だ。

 太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、発電量が天候に左右される欠点がある。さらに、平地の少ない日本では太陽光発電の立地に適した場所は限られる。洋上風力発電も30年度までに運転開始できるのは一部にとどまるとの見方が強い。次世代エネルギーの水素やアンモニアなどを活用する技術開発も道半ばだ。

 新目標達成と火力の代替電源確保のためには、安全性が確認された原発の再稼働や新増設が欠かせない。ただ現在は、11年3月の東日本大震災による東京電力福島第1原発事故の影響もあって、原発33基のうち稼働しているのは7基だけだ。

 原発はエネルギー基本計画で「重要なベースロード電源」と位置付けられている。発電コストが低い原発の活用は、電気料金の抑制にもつながる。政府は原発の活用方針を明確に示すべきだ。

 中国に対策強化求めよ

 温室ガスの最大排出国である中国の習近平国家主席はサミットで、二酸化炭素(CO2)排出量を30年までに減少に転じさせる緩やかな中期目標を維持すると表明した。

 中国が排出量を大幅に減らさなければ、温暖化対策の実効性を確保することはできない。日本は中国に対策強化を求める必要がある。