世界日報 Web版

辺野古移設 県は不毛な争いを繰り返すな


 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設をめぐり、国土交通相が県による埋め立て承認撤回を取り消す裁決をしたのは違法だとして、県が裁決取り消しを求めた抗告訴訟で、那覇地裁は「裁判の対象にならない」として訴えを却下した。

 辺野古移設は、普天間の危険性除去と抑止力維持のために欠かせない。政府は着実に移設を進めるべきだ。

あらゆる方法で阻止図る

 県は2018年8月、辺野古沖で軟弱地盤の存在が判明したため、埋め立て承認を撤回。防衛省の行政不服審査請求を受けて、当時の石井啓一国交相が19年4月、撤回を取り消す裁決をした。この裁決をめぐり、県が承認撤回の効力回復を求めた訴訟では、最高裁で今年3月、県側敗訴が確定した。

 辺野古移設に関して、国と県は法廷闘争を展開してきた。今回を含めると訴訟は全部で9件あり、県の「埋め立て承認取り消し」の違法性が争われた訴訟は16年12月、最高裁で県側敗訴が確定している。

 移設に反対する玉城デニー知事は、あらゆる方法で阻止する構えだ。今回の判決についても「控訴を含め対応を検討したい」とのコメントを出している。しかし、移設の是非をめぐっては既に結論が出ていると言っていい。これ以上、不毛な争いを繰り返すべきではない。

 中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発などで、日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。特に中国は、不当に領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島の周辺で活動を活発化させている。

 中国海警船が領海内で日本漁船を追尾する事案が生じたほか、接続水域では今年、中国海警船の航行が確認された日数が計300日を超えて過去最多を更新した。尖閣奪取を虎視眈々と狙っているとみていい。

 朝鮮半島や中国をにらむ沖縄は戦略的要衝だ。日本の平和を守る上で、在沖米軍による抑止力を維持することは死活的に重要である。

 一方、普天間は住宅密集地に立地していることから「世界一危険な米軍基地」と言われる。04年8月には、隣接する沖縄国際大構内に米軍ヘリコプターが墜落した。周辺住民を巻き込むような大事故が発生すれば、日米の同盟関係を大きく損なうことにもなりかねない。危険性除去は急務である。

 国は18年12月に辺野古の埋め立て海域で土砂の投入を開始。その後軟弱地盤が見つかったため、当初の予定は「22年度またはその後」だった普天間の返還時期は30年代以降となった。玉城知事は、軟弱地盤を改良する国の設計変更申請を承認しない構えだが、普天間の危険性除去をこれ以上先延ばしにすることは許されない。

抑止力維持と負担軽減を

 沖縄は22年5月で本土復帰から半世紀となる。辺野古移設によって本土と沖縄との溝が深まることのないよう、政府は粘り強く県民の理解を得ていく必要がある。

 このためにも、抑止力を損なわない範囲で沖縄の基地負担軽減をさらに進めるべきだ。