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日豪首脳会談 中国を抑止する準同盟関係に


 オーストラリアのモリソン首相が来日して行われた菅義偉首相との日豪首脳会談は、中国による海洋進出や豪州への政界工作疑惑など覇権主義的な試みへの危機感を背景に「自由で開かれたインド太平洋」構想に向け連携強化が確認された。中国の脅威を抑止する外交・安全保障関係を日米同盟に加えて発展させていくべきだ。

対面を強く希望して来日

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の中で、モリソン氏は菅首相との対面による会談を強く希望して渡航制限措置を取っている豪州から来日した。

 多忙極める一国の首相が帰国後の2週間を隔離措置に費やすほど重要視したものであり、民主主義、人権、自由貿易などの価値観を守り、インド太平洋地域の秩序を維持し繁栄させようと意気投合した両首脳の姿勢を歓迎したい。

 自衛隊と豪軍の相互訪問時の法的地位を定める「円滑化協定」について大枠で合意したことは、両国が安全保障を含めて同盟関係に近い準同盟の関係を構築するもので、意味の大きいものだ。米国、さらにインドなどを加えた多国間の連帯も確認され、「自由で開かれたインド太平洋」の地政学的な支えが増強された。

 もとより中国の「核心的利益」と称した南シナ海、東シナ海での周辺国との緊張関係や、香港へ国家安全維持法を一方的に適用し、銃器を用いないものの重装備の警官隊により民主主義を封じ込めるなど、力による現状変更は深刻の域を超えたと思われる。

 東シナ海では、わが国に対しても沖縄県・尖閣諸島の領有を主張し、公船による主権侵害が常態化している。豪州では近年、南シナ海問題でかつて中国寄りになった背景に中国の買収による世論工作、政界工作があったとする疑惑が次々と問題になっていた。

 中国で発生した新型コロナの世界流行をめぐり、4月に豪政府が発生源の国際調査を世界保健機関(WHO)年次総会に向けて呼び掛けたところ、中国は豪州からの農畜産物輸入を制限するなど報復措置を取り関係悪化に拍車を掛けた。

 6月には、モリソン氏が豪州の公共施設などに「国家を拠点にする悪意ある巧妙な手口を持つ実行犯」による大規模なサイバー攻撃があったと公表。中国への名指しは避けたが「脅しには屈しない」と述べ、最大貿易相手国の中国に対して融和的姿勢を転換する判断を下した。

 その後、豪州では景気後退期に入るという犠牲が生じている。会談では日豪経済連携協定(日豪EPA)の下での経済関係の深化とともに、環太平洋連携協定(TPP)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を通じた自由かつ公平な貿易の発展を支持しており、互恵的経済発展を期待したい。

 工作疑惑を他山の石に

 一方、豪州では中国による政治や世論への影響工作疑惑をめぐって家宅捜査や裁判が行われている。

 中国共産党の影響工作で国際問題へ筋を曲げた発信が行われないか、わが国も他山の石とすべきだ。