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本格改憲案示し議論深める 国民民主党代表 玉木雄一郎氏


本紙インタビュー

 国民民主党の玉木雄一郎代表はこのほど世界日報社のインタビューに応じ、年末までに体系立った本格的な憲法改正草案を提示し、率先して改憲論議を深める意向を示した。また、国債を発行して科学技術や教育への投資を拡充すべきだと訴えた。(聞き手=編集局次長兼政治部長・武田滋樹、政治部・亀井玲那)

国民民主党代表 玉木雄一郎氏

 たまき・ゆういちろう 昭和44年、香川県生まれ。平成5年、東大法学部卒、大蔵省入省。米ハーバード大ケネディスクール修了。21年から衆院議員。民主党副幹事長、民進党幹事長代理、旧国民民主党代表など歴任。香川2区。当選4回。

なぜ、立憲民主党と合流しなかったのか。

 政策理念の一致が一番大事だ。(旧国民民主)62人の中で22人が合流新党に行かなかった、あるいは、行けなかった原因の一つは基本的な政策理念が一致しなかったためだ。

新しい国民民主党をどういう政党にしていくか。

 単なる反対とか対決だけでなく、政策提案型の改革中道政党を目指そうというのが結党以来の方針だ。特にコロナ禍で困っている人、将来の不安を抱えている人が増えているので、野党の中にも、課題解決型、政策提案型の、イデオロギーにとらわれない政治的な立ち位置を持った政治集団が必要だろうと、志をしっかり持った仲間と再スタートを切った。政権を担える政党として成長していきたい。

党の憲法調査会が活発に活動しているが、憲法改正にどう取り組むか。

 年内に憲法改正草案の概要をまとめる。これが新しい時代を切り開く日本の憲法だと、われわれ側からの改正案をまずきちんと提示したい。また、憲法審査会には審議拒否しないで、きちんと出ていって議論する。考え方が違っていても出ていってしっかり議論する。

 憲法は国家の基本法なので、国論を二分するようなことで憲法改正をしては駄目だ。まずしっかりした合意をきちんと取る。だから与党も無理しないし、野党も積極的に改正案などで考え方を示す。その相互のやりとりの中で憲法議論が深まっていく。その役割を率先して果たしていきたい。

年末の改正草案は自民党の4項目たたき台素案のようなものなのか。

 4項目のようなつまみ食いではなく、きちんと体系立った自主憲法のようなものだ。四つとか三つではなくて、人権の項目、天皇、統治機構など、総括的で体系立った改正案を出す。

9条の問題にはどう取り組むか。著書で、「平和主義」を再定義する改憲議論が必要と言っている。

 それも条文で示したい。基本的に今の憲法9条は全く役に立たないものになっている。特に2項に関し、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しないといいながら、5兆円を超える実力組織を持って、かつ解釈改憲で集団的自衛権まで行使できるようになった。(9条が)何の歯止めの機能も持っていないということなので、軍事的公権力の行使に対し一定の歯止めをかけなければならない。

 日本が平和憲法を持たず平和主義を求めないのであれば、全く制限のない自衛権を書いておけばいいが、いろいろな歴史の経緯や、憲法の三原則の一つが平和主義であれば、どこまでできるのか、どこまでやっていいのか、やってはいけないのか、軍事的公権力の外縁をきちんと憲法で書き切っておくことが必要だ。

自民党の自衛隊明記案をどう見るか。

 自衛隊という組織の名前を書くことは、あまり意味がない。自衛隊が行使する自衛権の範囲がどこまでなのか、それを憲法の条文の形で示しながら国民投票を受けて、わが国はどんな時に武力を行使して戦争するのか、どういう時にしては駄目なのか、その外枠、外縁を国民と一緒に合意を取っていくプロセスが、9条の改憲議論の本質にならなければならない。

国債発行し科技・教育に投資を

政府のコロナ対策をどう評価するか。今後、どのような対策が必要か。

 結果として、死亡者数と重症者数を抑え込んでいることは国際的に見て評価していいが、戦略的に政策を組んでそうなったというよりは、偶然と国民側の努力によって成し遂げられた。第2波、第3波が予想される中で、これまでの対策を検証し、きちんと対応することが大事だ。

 一つは経済との両立をどう図っていくか。日本はG20の中でも経済の戻りが悪い。大胆な経済対策が必要だ。第3次補正は10兆とか15兆といわず、最低でも50兆、(第1次、第2次と)トータルで「真水」100兆円くらいになるようにして、企業と家計支援を徹底すべきだ。

 もう一つは、検査の拡充だ。今までは保健所に行ってという話だったが、これから大事なのは経済を回すための検査をどう充実させるかだ。頻繁に陰性を確認できるよう検査をもっと広げ、値段を徹底的に下げないといけない。

教育問題で「こども国債」を発行してでも改革すべきだと言っている。

 教育や科学技術に対する投資の予算をどこから捻出してくるのか、逆に聞きたい。科学技術予算だが、日本は30年間横ばいだ。アメリカも横ばいだがレベルが違う。中国は急激に増えてアメリカをはるかに追い越している。これだけ予算が違うと当然、技術力と成長力の差がつくので、もう日本は科学技術の日本でなくなっている。

 今ゼロ金利、マイナス金利など低金利を生かして安くお金を調達できるわけだから、そのお金を徹底的に教育とか科学技術に投資をすべきだ。子供に借金で何かを渡すことは次世代への負担にならない。高齢者の年金・医療・介護を借金でやると、便益はお年寄りに行って負担だけ後世代に行くが、便益を受けた子供が大きくなって自分で返すから受益と負担が一致する。

 学術会議を問題にするよりも、学術会議が考える予算そのものがないことに危機を感じるべきだ。科学技術予算がなくなったら学術会議もなくなってしまう。

次の衆院選について、野党との選挙協力はどう進めるのか。

 小選挙区制度で、野党側が複数立てると当選確率は下がる。選挙区調整はすでにいろいろやってきた。その経緯も踏まえながらできる限り選挙区調整は行いたい。共産党と直接するというより、これまで立憲民主党と社民党とで会派を組んでいたので、その中でやっていくことがベースになる。