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大阪都構想 市民に分かりやすい説明を


 大阪市を廃止して四つの特別区に再編する「大阪都構想」の制度案が、大阪市議会で承認された。府議会も既に承認しており、都構想の是非を問う住民投票の実施が決定した。

 住民投票は11月1日に行われる予定だ。新型コロナウイルス禍の中であえて行う以上、都構想の狙いや内容などについて市民に分かりやすく説明する必要がある。

前回投票は僅差で否決

 住民投票は大都市地域特別区設置法に基づく手続きだ。前回は2015年5月に実施され、僅差で否決された。この結果を受け、当時の橋下徹市長は政界を引退した。

 今回の制度案では、特別区の数を前回案の5から4に減らした。前回案では最大約2倍の人口差が特別区の間で生じたが、今回はそれぞれ60万~70万人前後に調整して財政規模もそろえ、初期コストも抑えるなどの工夫が見られる。住民投票で賛成多数となれば、25年1月から特別区に移行する。

 都構想は東京都をモデルに、広域の成長戦略を府が、福祉や教育など住民に身近な分野を特別区が受け持つ。府と市の「二重行政」を解消し、効率化するのが狙いだ。広域行政の司令塔を一つにすれば、戦略的な都市運営も可能となる。

 かつて大阪では、府と市がそれぞれ再開発によって超高層ビルを建設し、ともに経営破綻したことがある。この事例を見れば、二重行政に無駄があることは明らかだ。

 一方、行政サービス低下への懸念も残る。今回の案では、府が特別区に10年間で計370億円を追加配分する規定を設けるなど懸念払拭(ふっしょく)に努めた。また、市の廃止で市税の一部は府に移譲され、約8割は特別区に、残る約2割が府に回るため、反対派は「特別区の自主財源が減り、地域の特色を出しにくくなる」と主張している。こうした批判にも説得力のある反論が求められよう。

 都構想の背景には、東京一極集中で地盤沈下が続く大阪の活性化を目指す狙いがあろう。大阪は1920年代、東京よりも人口が多い世界有数の大都市だったが、戦後は企業が次々と本社を東京に移転し、人口減少が三大都市圏で最も早く到来するとされている。2025年の大阪・関西万博開催やカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致計画は、こうした現状の打破を図るものだ。大胆な統治機構改革によって、さらに弾みをつけられるかが問われる。

 「副首都」を目指す都構想が、現行の地方自治の枠組みに一石を投じていることは確かだ。松井一郎市長は、大阪府の名称を「大阪都」に変更したいとの意向も示している。

地方自治の在り方明示を

 住民投票をめぐっては、次期首相が早期の衆院解散・総選挙に踏み切った場合、同時実施に向け、期日を前倒しする可能性もある。

 これにコロナ禍も加わって予定は流動的だが、単に大阪のみならず、日本の将来にも大きな影響を与える住民投票である。都構想の推進派も反対派も、目指す地方自治の在り方を明確に示す必要がある。