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社会保障会議 高齢者も支え手に回る制度を


 政府は全世代型社会保障検討会議に提示した中間報告で、年金・医療・介護を国民全体で支えるため、シニア世代も長く働き、支払い能力に応じて負担する「生涯現役」社会をつくる方向性を打ち出した。

 急激な少子高齢化により、制度を支える現役世代の負担は重くなる一方だ。少しでも多くの高齢者に支え手に回ってもらう改革が求められる。

70歳就業確保も盛り込む

 団塊の世代が75歳以上になり始める2022年度以降は、高齢化による社会保障費の伸びが年1兆円弱に達するとみられている。

 このままでは、現役世代の社会保険料負担増やさらなる税の投入が避けられない。対応を急ぎ、社会保障制度を持続可能なものとする必要がある。

 中間報告で示された改革案には、元気な高齢者らが長く働きながら社会保険料や税を納め、減り続ける現役世代を支えてもらう狙いがある。このために「『高齢者』や『現役世代』の画一的な捉え方を見直す」と明記した。社会全体で高齢者が働きやすい環境づくりに努める必要がある。

 年金制度の改革案では、一定以上の収入がある高齢者の年金を減らす「在職老齢年金制度」について、就労意欲をそいでいると指摘される60~64歳の減額基準を現行の月28万円超から月47万円超に引き上げる。

 年金は原則65歳で受給が始まるが、現行では60~70歳の間で開始時期を選ぶことができる。改革案では、これを60~75歳に拡大。75歳まで働いてから年金を受給することもできるようになる。

 年金は受給開始時期を遅らせるほど受け取る金額が増える仕組みで、75歳まで繰り下げれば年金額は1・84倍になる。老後の生活設計の選択肢が広がることにもなる。

 現役世代を含めた制度改革に関しては、厚生年金を適用するパート労働者の範囲について「従業員501人以上」としている企業規模要件を段階的に引き下げ、24年10月に「51人以上」とする。「51人以上」になれば約65万人が加入する見通しで、パート労働者の受け取る年金が増えるとともに保険料収入の増加で全体的な年金水準が改善する効果も期待できる。

 一方、労働面では、企業による70歳までの就業確保義務化を視野に入れ、当面は努力規定を設ける。企業にとっては人件費が増えることにもなるが、高齢者の知恵や経験を活用できるよう前向きに対応してほしい。

 また、75歳以上の後期高齢者が医療機関で支払う窓口負担については、現役並み所得がある人(3割負担)を除き1割に抑えている制度を見直し、22年度から一部の人は2割とする方針を明記した。現役世代の負担を増やさないためには、やむを得ない措置である。

負担増へ適切な水準を

 今後は負担増の対象となる所得水準などの議論を続ける。来夏の検討会議最終報告に盛り込み、同年の臨時国会に法案を提出する方向だ。

 高齢者の家計の状況などを踏まえ、適切な水準を設定しなければならない。