共産党綱領改定案 中国の問題は共産主義の所産


 日本共産党が党大会で採決する党綱領一部改定案をまとめ、中国をベトナム、キューバとともに「社会主義をめざす新しい探求が開始」されていると規定した一文を削除し、中国の最近の覇権主義的動向を非難する姿勢を打ち出した。立憲民主党などとの野党共闘および共産党の選挙対策の側面が強く、むしろ中国や旧ソ連の諸問題は共産主義の所産とみるべきだ。

 自衛隊解消は変えず

 共産党本部で開いた第8回中央委員会総会(8中総)で志位和夫委員長は、来年1月の第28回党大会に提案する綱領改定案について報告。2004年の綱領改定当時の中国は、日中両国共産党の関係正常化やイラク戦争に反対したことなどから「社会主義をめざす新しい探求が開始」されている国とみる根拠があったと説明した。

 その根拠がなくなったことについて志位氏は、最近の中国の南シナ海における力による現状変更、沖縄県・尖閣諸島沖の領海侵犯、新疆ウイグル自治区での人権弾圧、香港のデモでの香港政府への全面支持などを列挙し、「大国主義・覇権主義の誤り」として論難した。批判は遅すぎるぐらいである。綱領の中国に対する評価が足かせになったことは間違いない。

 これだけ中国の脅威を認識しているのであれば、防衛力整備や日米安保体制の強化などを訴えるべきで、自衛隊解消、日米安保条約廃棄を唱える部分を変えないのは矛盾だ。

 綱領が改定されれば、共産党は中国について社会主義ではないと言うに等しいが、中国には影響しそうにない。10月に中国共産党は第19期中央委員会第4回総会を開いて「中国の特色ある社会主義制度を堅持し、完全なもの」にするよう党の指導を徹底させることを決定しており、社会主義の完全な実現を強調している。

 また、同報告の中で「ソ連覇権主義という巨悪」と、かつての共産主義の宗主国にして日本共産党の生みの親であるソ連を批判するが、ロシア革命後の旧ソ連圏で行われた粛清や宗教弾圧、政治犯の収容所での強制労働、アフガニスタン侵攻など諸問題を伴う蛮行も共産主義実現のために行われた。

 日本共産党はこれら国際社会における共産主義・社会主義国の評判が悪く、自らの選挙にマイナスになると姿勢を変える。かつてソ連礼賛からソ連批判に転じ、中国への評価も一転二転している。

 また、現存する共産党独裁の国は中国のほか、ベトナム、キューバ、北朝鮮などだが、同党はこれらの国をモデルとせずに「発達した資本主義国での社会主義・共産主義への前進をめざす」として「前人未到の道の探求」をするのだと鼓吹している。共産党の党名を変えないために共産主義を未来の幻想の域に棚上げした感さえある。

 看過できぬ左傾化の弊害

 しかし、8中総で同党は2022年までに「野党連合政権」を樹立するとしており、綱領改定は他野党との共闘を促進する狙いがあると見なければならない。共産党の影響により野党勢力がますます左傾化する弊害は看過できないだろう。