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選抜試験同期「FX10」、仲間の夢乗せ宇宙へ


油井亀美也さん、きょう打ち上げ

選抜試験同期「FX10」、仲間の夢乗せ宇宙へ

宇宙飛行士候補選抜試験で、最終選抜の10人に残った油井亀美也さん(右)と江澤佐知子さん。選考の一つが行われた米航空宇宙局(NASA)の施設内で=2009年1月(江澤さん提供・時事)

 国際宇宙ステーションで初の長期滞在に臨む油井亀美也さん(45)は2009年、宇宙航空研究開発機構が10年ぶりに実施した宇宙飛行士候補の選抜試験に、1000人近い応募者の中から大西卓哉さん(39)、金井宣茂さん(38)と共に選ばれた。油井さんらを含め、最終選抜に残ったのは10人。誰が言い出すともなく、選抜試験の課題をもじった「FX10」というグループ名が付けられた。ともに宇宙への夢を語った仲間は「誰が行ってもおかしくなく、10人の代表として行く感じだ」と23日の打ち上げを楽しみにしている。

 東京都内で産婦人科医として働く江澤佐知子さん(42)は最終選抜に残った10人の1人。油井さんの印象を「ずばぬけてリーダーシップがあった。安心、安定のリーダーシップと、全体を客観的に見る力がある」と振り返る。「それでいて野菜嫌いだったり、時々言うギャグがつまらな過ぎて逆に面白い時があったりする」と打ち明ける。

 最終選抜では、閉鎖された環境の中でさまざまな課題に取り組む試験が課される。受験者同士はライバルであると同時に、協力し合う仲間。江澤さんは「みんな自分の役割を分かっていて、10人でも100人分の力を体感した。今までの人生であれだけ強力なチームを体験したことがない」と言う。

 空いた時間には、それぞれが宇宙への夢を語った。火星旅行、宇宙から見た地球。元天文少年の油井さんも楽しそうに加わり、話の輪が広がった。江澤さんも「いい大人になって、目を輝かせて語ることは普段ないが、それを堂々とやってもいい場所だった」と話す。

 共に宇宙への夢を語った仲間が、間もなく本当に宇宙へと旅立つ。「誰が宇宙に行ってもおかしくない、スペシャルな10人。油井さんなら油井さんで、間違いないと安心感がある。油井さんもたぶん(他の人に対して)同じように思っているのでは」と江澤さん。「言わなくても頑張り過ぎると思うので、テイク・イット・イージー(気楽にやって)と声を掛けてあげたい。天文少年だった彼が、宇宙で星を見たらどうだったのかを聞いてみたい」と笑顔で語った。