世界日報 Web版

けがで引退、錣山部屋の元小結・豊真将


誠実な土俵態度と真っ向勝負、諦めぬ心伝える

けがで引退、錣山部屋の元小結・豊真将

美しい所作でも人気があった豊真将=2011年11月21日、福岡国際センター

 美しい手刀、勝っても負けても変わらない深々としたお辞儀。誠実な土俵態度と真っ向勝負で人気を集めた元小結豊真将(33)が1月の初場所中に引退を表明した。「もっともっと頑張れたんじゃないかと思う」。けがに苦しんだ土俵人生に未練は残るが、立田川親方として後進を育てる第二の人生を歩み始めた。

 この2年は、左肩けん板断裂などに苦しんだ。再起しては休場の繰り返し。「俺たちの根性とプライドを見せてやろう」。師匠の錣山親方(元関脇寺尾)の言葉に励まされ、苦難を乗り越えてきた。だが昨年7月、名古屋場所の日馬富士戦で右膝を脱臼。靱帯(じんたい)2カ所を損傷し、太もも裏も筋断裂した。

 「1、2年で治るけがではなかった」と錣山親方。普通に歩けるようになるかも危ぶまれる重傷だったという。三役復帰を狙える地位まで戻っての悲運だったが、心は折れなかった。筋力トレーニングに励み、若い衆と同じ黒まわし姿で稽古場に下りる日も。付け人は「ただ純粋にすごいと思った」。決して諦めない姿勢に心打たれた。

 だが、今回ばかりは厳しかった。「初場所の土俵に立つ目標を掲げて懸命に稽古してきたが、立つ力がないと判断した」。昨年末に引退を決意。記者会見で思わず悔し涙を流した。

 「諦めない相撲を取る力士を育てられるように頑張りたい」。きっとこの親方にしか伝えられないことが、たくさんある。