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神戸高2刺殺、発生から11年も動機分からず


今年8月に元少年を逮捕、遺族「納得できるまで闘う」

神戸高2刺殺、発生から11年も動機分からず

神戸市北区で2010年、私立高校2年の堤将太さんが刺殺された事件について、自宅で取材に応じる父親の敏さん=9月27日、神戸市

神戸高2刺殺、発生から11年も動機分からず

2010年、神戸市北区で刺殺された私立高校2年の堤将太さんの遺影=9月27日、神戸市

 神戸市北区で2010年、私立高校2年の堤将太さん=当時(16)=が刺殺された事件は、4日で発生から11年。兵庫県警は8月、当時17歳の元少年(28)=愛知県豊山町、鑑定留置=を逮捕したが、詳しい動機は不明のままだ。「納得できるまで、とことん将太と一緒に闘う」。父親の敏さん(62)は、やり場のない怒りをにじませた。

 将太さんは自宅近くで、交際相手だった中学3年生の女子生徒と話していた際に、頭や首を刃物で刺され死亡した。17歳の誕生日の6日前だった。

 敏さんは事件の翌年から、情報提供を呼び掛ける警察のビラ配りに参加。その後も、発生日が近づくと、自ら作製したビラを持って地域を1軒1軒回りポストに入れた。将太さんの友人も手伝ってくれ約6000軒を回ったこともあった。「絶対捕まえる。それしか思っていなかった」。

 今年8月4日昼、妻と2人でテレビを見ていると電話が鳴った。「今、犯人を逮捕しました」。普段から連絡を取り合っている担当刑事からだった。頭の中が真っ白になった。状況を説明する刑事の涙声を聞きながら、とっさに近くにあった紙に「逮捕された」と殴り書きして、座っていた妻に渡した。電話を切った後も、しばらくは逮捕が信じられなかった。

 逮捕されたのは、当時未成年だった元少年で、名前も公表されなかった。敏さんは「犯人は1日逃げるごとに罪を重ね、10年以上ずっと犯罪を継続してきた」と憤る。「僕らの人生の6分の1を逮捕のために費やした」と割り切れない思いを口にした。

 リビングの出窓には愛読書だったプロ野球の選手名鑑や、大好物の清涼飲料水に囲まれた将太さんの遺影が飾られている。その正面が敏さんの特等席だ。遺骨も自宅に置いている。「これからが新しい闘い」。敏さんは「もう将太は帰ってこない。それに代わる決着は軽いものじゃない。とことん将太と一緒に闘うつもり」と力を込めた。