世界日報 Web版

同時テロ20年、長男は消防士、次女は救命士に


NYの元消防士カルホウンさん、星条旗を手に同僚ら追悼

米同時テロ20年、長男は消防士、次女は救命士に

取材に応じるニューヨークの元消防士ケビン・カルホウンさん(右)と次女で救命士のトレイシーさん=8月20日、米東部ペンシルベニア州シャンクスビル(時事)

 2001年の米同時テロから20年の節目を前に、ニューヨークの元消防士ケビン・カルホウンさん(62)が取材に応じ、この20年を「一日一日を積み重ねていく中で、建設的になることができた」と振り返った。事件では同僚を6人失い、自身も心的外傷後ストレス障害(PTSD)などに苦しんだ。一方、当時10代だった長男は消防士、次女は救命士になり、「恐怖の中に彼らは(消防士の活躍という)良いところも見た」と語った。

 01年9月11日、ニューヨーク市ブルックリンの消防署の副隊長だったカルホウンさんは、ハイジャック機が突入し、崩壊した世界貿易センターの現場に第2陣として出動した。

 「ツインタワーから煙が上がるのが学校から見えた」。14歳だった次女トレイシーさんは、この時、科学の授業中だった。「お父さんは現場に行っているのか、生きて帰って来られるのか、本当に怖くて最初はパニックだった」。当時は携帯電話がまださほど普及しておらず、現在のようにインターネットにもつながらなかったため、父親の安否がすぐには分からなかったという。一方、父親の背を見て育ったトレイシーさんは救命士になる道を選んだ。「人を助けるのが好き」と話す。

 カルホウンさんの救助・捜索活動は02年5月まで続いた。同時テロで死亡した消防士は343人。米メディアによると、その後、がんなど関連する病気で死亡した消防士は200人以上に上る。

 カルホウンさんは同僚の葬儀に「遺族の慰めになれば」と、世界貿易センターの捜索現場で掲げられた星条旗を持って行く。20年の節目を迎える今年は、事件で命を落とした消防士の遺族が設立した財団のイベントに合わせ、首都ワシントンとペンシルベニア州シャンクスビル、ニューヨークのテロ現場を旗を手に順番に訪れている。

 「あの日に戻った気がして感情的になった」。8月20日、ハイジャック機が墜落したシャンクスビルの現場でカルホウンさんはこう語った。「やらなければならなかったこと、やったことの記憶がよみがえった。でもわれわれは多くの人も救助した」(ニューヨーク時事)