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バドミントン里見紗李奈、涙の初代女王


「続けてよかった」、泥臭く攻めてライバルに逆転勝ち

バドミントン里見紗李奈、涙の初代女王

バドミントン女子シングルス(車いすWH1)で金メダルを獲得した里見紗李奈=4日、国立代々木競技場

バドミントン里見紗李奈、涙の初代女王

バドミントン女子シングルス(車いすWH1)決勝でプレーする里見紗李奈=4日、国立代々木競技場

 女子シングルス(車いすWH1)決勝。相手のシャトルがネットにかかって優勝が決まると、里見紗李奈(NTT都市開発)は何度も拳を握り、目元を拭う。「信じられないくらいうれしい。夢みたい」。表彰台の上で再び涙があふれた。

 1次リーグで敗れた尹夢璐(中国)に準決勝で雪辱を果たし、決勝ではライバルのスジラット(タイ)と対峙(たいじ)した。リズムをつかめないまま第1ゲームを14-21で落とし、リードした第2ゲームでも9連続得点を許して逆転され、15-18と劣勢になった。

 それでも「やるしかない。がむしゃらに泥臭く」。そう胸に刻み、強打で攻めるなど5連続ポイントで再逆転。第2ゲームを取り返し、最終ゲームでもミスを恐れることなくライン際を攻め続けた。

 高校3年生だった2016年、交通事故で脊髄を損傷し、腰から下が動かなくなった。「当時は車いすの自分をあまり受け入れることができなかった」。気持ちがふさぎ込む日々。転機は翌年訪れた。中学時代にバドミントン部だったこともあり、家族の勧めでパラ競技に出合った。

 19年の世界選手権シングルスで優勝。一気に東京大会の金メダル候補になった。周囲の期待やプレッシャーさえ「金を取れば盛り上がって(パラバドミントンの)知名度が上がる」と力に変え、努力を重ねてきた。

 「この日の、この瞬間のために頑張ってきた。やめようと思ったことはないが、つらいことはいっぱいあった。続けてよかった」。初代女王の言葉に実感がこもった。