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ボルト氏などアスリートの能力を科学的に解明


日本科学未来館で開催、特別企画「超人たちの人体」展

ボルト氏などアスリートの能力を科学的に解明

競技用車いすを使った100㍍走行疑似体験=7月16日、東京都江東区の日本科学未来館(石井孝秀撮影)

 特別企画「超人たちの人体」が日本科学未来館(東京都江東区)で開催中だ。紹介される「超人」は3人。男子陸上100㍍で史上最速を実現したウサイン・ボルト氏(ジャマイカ)、リオデジャネイロ大会の車いす陸上で四つの金メダルを獲得したタチアナ・マクファーデン選手(米国)、競泳バタフライ100㍍の世界記録を10年ぶりに塗り替えたケレブ・ドレセル選手(米国)と、卓越したパフォーマンスと肉体美を持つ彼らの秘密に迫る。

 見どころは磁気共鳴画像装置(MRI)で撮影した体内の様子を何百枚、何千枚と重ね合わせて再現したボルト氏の肉体。右方向に曲がった背骨やそのアンバランスを逆手に取ったランニングフォーム、その走りを支えた太ももの筋肉の力強さなどを映像データから解析している。ボルト氏が、世界記録9秒58を出したレースでは、最大スピード時になる地点の歩幅が、なんと2㍍86にもなったという。

 マクファーデン選手のコーナーでは、腰から下がまひした状態で生まれてきた彼女の半生も紹介。また、右手を動かす際の脳の働きを調査したところ、健常者であれば脚の司令を出すはずの領域を使っていることが分かった。さらにこの領域で、本来重なり合わない手と体幹を支配する領域が重なっていたことも判明。車いす競技において手と体幹の動きをうまく連動させるため、脳が「超適応」を遂げたと考えられている。

 ドレセル選手の泳ぎ方も特徴的だ。ラスト15㍍で息継ぎなしで泳ぎ切っている。それを可能にしたのは他の世界レベルの選手より1・5倍大きい胸鎖乳突筋が関係している。激しい運動時など緊急時以外には使われない筋肉だが、彼の場合は普段の状態でもこの筋肉を積極的に利用していた。それが横隔膜などの呼吸筋の疲労を防ぎ、多くの酸素を一度に肺に吸い込むことにつながっていたのだ。

 同企画展は、無料だが事前予約制をとなっている。会期はパラリンピック閉会式当日となる9月5日まで。問い合わせ (電)03(3570)9151。

 (石井孝秀)