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野球日本代表、「結束」でつかんだ金メダル


稲葉篤紀監督、手紙に込めた選手たちへの思いで悲願達成

野球日本代表、「結束」でつかんだ金メダル

米国に勝利して金メダルを獲得し、喜ぶ日本の選手ら=7日、横浜スタジアム

 最後の打者を二ゴロに打ち取ると、選手たちはベンチを勢いよく飛び出した。日本が悲願の金メダル。稲葉監督は涙を流して選手と抱き合った。その後、マウンドに集まった胴上げでは5度宙を舞い、「みんな一生懸命、ここまでやってくれて、そういう思いがぐっときた」と感無量の様子で話した。

 日本にとって今大会の意味は大きかった。2008年の北京五輪以来、13年ぶりに実施された野球だが、24年パリ大会では再び除外される。00年シドニー大会でプロ選手が加わってからは、届かなかった金メダル。日本が強い「結束」を武器に、自国開催で悲願を成就させた。

 稲葉監督は6月16日の代表発表後、選手たちに思いを込めた直筆の手紙を送った。「手紙を書いたのはいつ以来だろう。記憶にないぐらい。自分で書きたかったんですよね。僕の思いが少しでも伝わってくれればと思った」

 封筒の裏には大きく「稲葉篤紀」と記した。コロナ禍で差出人が分かりづらい封筒は敬遠されるのではとの配慮からだ。その後選手に会った時には感謝の言葉を伝えられた。「(坂本)勇人とか、みんなにありがとうございました、と言ってもらった。見てくれているんだなと思った」。北京大会で星野仙一監督が選手に手紙を送ったのと同じように、熱い言葉で結束を訴えた。

 メンバー発表後に会沢(広島)、中川、菅野(ともに巨人)が辞退。追加招集の選手を決めるためのミーティングは深夜にまで及んだ。首脳陣にはプロ野球の1、2軍で指導する現役コーチがいる。全員の時間を合わせて意見交換をするならナイター後になり、オンラインでの議論が終われば、日付が変わっていることもあった。それだけこだわって、チームの輪に加わるメンバーを選んだ。

 稲葉監督はあえて主将は置かず、最年長となる田中将や坂本らの1988年生まれの世代をまとめ役にした。彼らが考え方や経験を伝え、コミュニケーションを取ることで絆は深まっていった。

 大会に入ってもチームは試合を重ねるごとに成長した。開幕戦のドミニカ共和国戦では坂本、準々決勝の米国戦では甲斐がサヨナラ打を放った。準決勝の韓国戦では同点の八回に山田が決勝の3点二塁打。厳しい接戦をものにしながら、4連勝の最短ルートで決勝に進んだ。

 今大会で契約満了となる稲葉監督は「試合を追うごとにチーム力が上がってきたと感じる」と実感を込めて言った。指揮官が誇る結束力で、頂点に駆け上がった。