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女子やり投げの北口榛花選手、57年ぶり決勝進出


「泣き虫娘」が規格外の成長、夢は世界記録の更新

女子やり投げの北口榛花選手、57年ぶり決勝進出

陸上女子やり投げ決勝、投てきする北口榛花選手=6日、国立競技場

 陸上女子やり投げで日本勢57年ぶりの決勝進出を果たした北口榛花選手(23)=JAL=。競技を始めた高校時代、うれしいときも悔しいときもよく泣いた。その成長曲線は規格外。決勝は入賞を逃し悔しい結果に終わったが、夢は世界記録だ。

 北海道・旭川東高時代の恩師、松橋昌巳さん(66)は2013年春、身長177センチの少女と出会った。「競泳と掛け持ちでいいなら」と承諾してもらい、やり投げを指導。キャッチボールをさせると、その年の北海道チャンピオンだった先輩より勢いよく投げ、「大きな体に無限の可能性」を感じた。

 掛け持ちのため練習時間は半分。だが道大会でいきなり大会記録をはるかに上回る45メートルを投げ、会場をどよめかせた。その後の日本ユース選手権では高1歴代2位を記録した。直前には東京五輪招致が決定しており、松橋さんは「それが決定打で、水泳やめますと言ってくれた」と振り返る。

 陸上に絞った一冬を経て、快進撃が始まった。高2の全国高校総体、国体、日本ユースを制し、翌年も全て連覇。中でも高3の高校総体は、南米開催の世界ユースで優勝した1週間後で、体調が万全でないのに56メートル63の自己ベストで連覇した。

 大会後、北口選手はむせび泣いた。うれし涙も悔し涙もよく流していたのを知る松橋さんは、「重圧から解放されたんだな」と思い声を掛けた。返ってきたのは「高校記録が出せなかった」という言葉。「悔し泣きだった。私の感覚を超え、どこまで伸びるか分からなかった」と話す。

 北口選手は2年前、66メートルの日本新記録を樹立。この年、松橋さんが買い替えた車のナンバーは世界記録72メートル28の4桁。いつか超えてほしい記録だ。