世界日報 Web版

田中亮明、世界王者の弟とお互いに切磋琢磨


恒成選手にアドバイスを求めスタイル転換、兄弟の絆で銅

田中亮明、世界王者の弟とお互いに切磋琢磨

田中亮明選手が銅メダル獲得を決め、ポーズを取る弟の恒成選手(後列右から2人目)と父・斉さん(手前右)ら=5日午後、岐阜県多治見市

 プロで王者になった弟とは別の道を歩み、五輪の舞台で銅メダルを獲得したボクシング男子フライ級の田中亮明選手(27)=岐阜・中京高教=。メダルに向けたスタイル転換の手本としたのは、3階級を制した元世界王者の弟、恒成選手(26)だった。

 幼少期から習っていた空手の腕を上げるため、中学1年で恒成さんとジムに入門。すぐにのめり込んだ。

 高校で日本一を目指したが、バンタム級世界2団体王者となる同学年の井上尚弥選手に一度も勝てなかった。大学で目標にしたリオデジャネイロ大会出場も逃した。一方、恒成さんは高校4冠を達成。プロ転向後、3階級でベルトを巻いた。

 東京五輪出場を決め、メダルを見据えた1年前。田中選手は、序盤に体力を温存し、最終ラウンドで仕掛ける今のやり方では厳しいと考えた。大会延期でできた時間で、恒成さんのような積極的なスタイルに転換すると決めた。

 プロ転向後はほとんど会話がなかった弟に、「足りないところ、気付いた点を教えてくれ」と、初めてアドバイスを求めた。「遅い右フックは使うな」「パンチが大振りだ」。恒成さんからは、遠慮のない「駄目出し」をつづったメモが返ってきた。世界王者の言葉に反発は感じず、素直に入ってきた。

 「同じ練習メニューを積めば近付ける」と考え、弟のジムに通った。恒成さんは昨年末、世界タイトル戦に敗れたが、再起を期す姿も刺激になった。田中選手は1年間で体を徹底的に鍛え、序盤から攻めるスタイルで3ラウンドを戦う自信を付けた。

 「お互いに切磋琢磨(せっさたくま)している」。この1年で深めた兄弟の絆が、銅メダル獲得の原動力になった。