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小さな新女王の輝き、妥協せず前へ出続けて金


素根輝が念願の金「小さくても努力すれば必ず勝てる」

小さな新女王の輝き、妥協せず前へ出続けて金

柔道女子78㌔超級で獲得した金メダルを手に、笑顔の素根輝=30日、日本武道館(時事)

小さな新女王の輝き、妥協せず前へ出続けて金

柔道女子78キロ超級決勝で金メダルを獲得した素根輝(左)=30日、日本武道館(時事)

 前へ出続けた先に、念願の金メダルが待っていた。女子78キロ超級決勝で21歳の素根が挑んだのは、31歳のオルティス。2008年北京五輪からメダルを取り続けているベテランに一歩も引かなかった。

 この階級では低い身長162センチの素根にとって、生命線は左の釣り手。突っ張って間合いを取り、得意の大内刈りや体落としで崩す。「小さくても努力すれば必ず勝てると証明したい」。ポイントが取れなくても主導権を握り続けたからこそ、相手がたまに見せる担ぎ技の威力は半減した。

 小学生の頃から道場や学校での部活動はもちろん、帰宅後もトレーニングを積み重ねてきた稽古の虫。豊富なスタミナは群を抜き、「練習は裏切らない」と信じてきた。開始8分52秒。圧力にあらがえない相手はたまらずつぶれ、三つ目の指導で反則負け。勝者の目からみるみる熱いものがこみ上げた。

 福岡・南筑高時代からシニアの大会で活躍。五輪代表争いでは、19年夏に世界選手権を制し、前年世界女王の朝比奈沙羅(ビッグツリー)を逆転すると、同年11月のグランドスラム大阪大会も優勝して一気に切符をつかんだ。柔道の男女計14階級中、最も早い代表決定で、20年夏に向けて十分な準備期間を得た。

 それが五輪延期で、かえってデメリットになった。コロナ禍で長期間試合から離れ「毎日、すごくきつかった」。柔道に専念したいとの理由で当時在学していた環太平洋大を退学。パートナーとして二人三脚で支えてきた兄の勝さんとのコンビも解消した。

 変化する環境の中、葛藤を抱えながら自分を見詰め「金メダルを取り、名前の通りに輝けるように」との目標はぶれなかった。メダリスト4人が並んでの記念撮影。ひときわ小さな新女王の笑顔がまぶしかった。