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体操の北園丈琉選手、憧れの内村選手から激励


五輪直前に右肘を負傷、沈みかけた心を救った一本の電話

体操の北園丈琉選手、憧れの内村選手から激励

跳馬の演技をする北園丈琉選手=26日、有明体操競技場(時事)

 体操界次世代エースの夢はついえたかに見えた。北園丈琉選手(18)=徳洲会=は、東京五輪選考会で演技中に負傷。沈みかけた心を引っ張り上げたのは、憧れの内村航平選手(32)からの一本の電話だった。

 東京大会招致が決まった2013年。幼い頃から指導していたトミオカ体操スクール(大阪市)の冨岡知之コーチ(44)は、小学5年の北園選手が全国大会のつり輪の規定演技で10点満点を出したのに仰天した。「そこから、高校3年で五輪に出るのが一つの目標になった」と語る。

 清風中高(大阪市)の恩師、梅本英貴監督(45)は「中学までは将来をつぶさないように、東京で勝負していいのか、パリを目指した方がいいのか迷いながらだった」と振り返る。投げやりになった姿も、いじけた姿も見てきたが、「東京五輪で金を取ることは絶対ぶれなかった」と話す。

 体操にけがは付き物と、母希望さん(48)は「ある程度は覚悟していた」。予選をトップ通過で迎えた今年4月の全日本個人総合決勝で鉄棒の演技中に落下し、右肘靱帯(じんたい)を損傷した。「東京五輪を親としても諦めざるを得ないのかな」。希望さんは「大丈夫」と息子に告げながら、「五輪だけじゃないよ」という言葉はのみ込んだ。

 大会後、北園選手が梅本さんと治療に専念していた時だった。「航平さんから電話があってん」「励ましてくれたん?」「うん」。電話の内容は聞いていないが、「心がプンと上がった」のを感じた。梅本さんも「やれるんじゃないかというタイミングで航平が電話をくれた」と語る。