世界日報 Web版

「私が…まだ夢みたい」故障・貧血・苦難超え金


15年の日本選手権では最下位、両親の言葉を支えに飛躍

「私が…まだ夢みたい」故障・貧血・苦難超え金

競泳女子400㍍個人メドレーで金メダルを獲得し、喜ぶ大橋悠依選手=25日、東京アクアティクスセンター(時事)

 かつては想像すらしていなかった舞台で栄冠を勝ち取った。競泳女子400メートル個人メドレーで金メダルを獲得した大橋悠依選手(25)=イトマン東進=。「自分が取れるなんて本当に思ってなかった。まだ夢みたい」。何度も涙を拭いながら語る言葉には、実感がこもっていた。

 五輪招致が決まった2013年に思い描いた未来像。大橋選手は「選手として出ることはない。ボランティアや選手のトレーナー、漠然と何らかの形で関われればと思っていた」と振り返る。

 平井伯昌監督にスカウトされ東洋大に進んだが、苦難の時期はその後に待っていた。膝の故障に加え、原因不明の体調不良で思うように泳げない日々。どうやっても記録は伸びず、2年で出た15年の日本選手権では屈辱の最下位に。「もういいや」と、競技引退まで口にした。

 光が見えたのは、検査で重度の貧血が判明したこと。原因が分かってからは偏食をやめ、食事の改善に取り組んだ。滋賀県に住む母は、鉄分の多いメニューを考え、手料理を送るなどしてサポートしてくれた。

 体調を整えて迎えた16年のリオ五輪代表選考会は3位。出場には届かなかったが、「ただベストを出すことだけ」を考えて残した実績は、「選手としての五輪」を初めて具体的に感じた転換点に。17年からの飛躍につながった。

 落ち込みやすい性格で「だめだめな時期」もあったというが、支えになったのは「楽しんで」「悠依らしく」と結果にかかわらず励まし続けた両親の言葉。「家族みんなで取った金メダル」と笑みをこぼした。