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内村航平「夢」の終わり、まさかの予選落ち


鉄棒の演技で思いもよらぬ落下、「大舞台で力出せない」

内村航平「夢」の終わり、まさかの予選落ち

体操の男子予選、鉄棒の演技で落下した内村航平=24日、有明体操競技場(AFP時事)

 世界を舞台に数々の栄冠を勝ち取ってきた内村の東京五輪は、たった1日で終わってしまった。6種目すべてで美しい演技を見せてこそ体操、というこだわりを捨て、鉄棒一本に絞って目指した五輪。そのあっけない幕切れに「(鉄棒に絞って)練習をやってきて、こんなもの。自分に失望している」と自嘲の笑いが浮かんだ。

 H難度のブレトシュナイダーに始まり、カッシーナ、コールマンと難度の高い手放し技を次々と決めていく。しかし、体をひねり、握る手を入れ替える技でバーをつかみ損ねる。落下してマットにたたきつけられた。諦めたように表情を変えず自らのスコアを確認し、下を向いた。

 五輪代表を争った代表選考会、計5度の演技で1度も落下はなかった。その時の演技ができれば金メダルも夢ではなかったが、不安はわずかにあった。21日の会場練習でも同じひねり技で失敗。今までならば思いもよらぬところでの落下で、「定まっていない感じがあった。原因は分かっていない」と首をかしげるしかなかった。

 個人総合で五輪2連覇、世界選手権は6連覇。精神力の強さと経験の豊かさは言うまでもないが、身体的な衰えは確実に忍び寄ってきた。「大舞台になるほど力を出せたのに、それが出せない」。無観客の影響は「みんな同じ条件。自分の問題」と否定したが、なにがしかのマイナス要素になったのか。

 「引退が終わりの正解とも思えない」「失敗しても体操って面白い」と体操競技への深い愛着は変わらない。一方で、この日の試合で橋本や北園ら10代の選手が堂々とした演技を披露した。それを見守った内村は、「僕が見せられる夢はここまで」との言葉が口を突いた。