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中国科学者、雄ネズミの妊娠・出産実験が物議


生命倫理の議論に、「怪物」「フランケン科学」批判も

中国科学者、雄ネズミの妊娠・出産実験が物議

実験用マウス=2006年5月、北京(AFP時事)

 雄のネズミを妊娠・出産させることに成功したとする中国の科学者の実験が世界的に物議を醸している。実験を主導した研究者は「生殖生物学に大きな影響を与える可能性がある」と意義を強調しているが、怪物を生み出した科学者を主人公にした英怪奇小説「フランケンシュタイン」になぞらえて批判する声も出ている。

 論議を呼んでいるのは中国の海軍軍医大学のジャン・ロンジア氏らの実験。6月に論文が査読前の科学論文を扱うウェブサイト「バイオアーカイブ」に掲載された。

 実験では去勢した雄ネズミに雌の体を縫い合わせるなどした上、受精卵を移植。成功率は4%に満たなかったが、帝王切開で10匹の赤ちゃんの出産に成功したという。雄の妊娠は自然界では極めて珍しく、一部の魚類で見られるのみとされる。

 この実験について、英科学誌ネイチャー(電子版)は「生命倫理の議論を巻き起こしている」と指摘。「人間を対象とした研究から程遠く、動物モデルというよりも単なる動物実験だ」とするオーストラリアの生命倫理学者の否定的な見方を紹介した。

 英動物愛護団体PETAはデーリー・メール紙の取材に、「非倫理的であり、『フランケン科学』の領域にあるものだ」と批判。ツイッターなどのソーシャルメディアでも論争となっている。(ロンドン時事)