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目の前が黒海なのに、ソチ名物はなぜかニジマス


環境汚染のせい? ムジムタ川に大規模な国営養殖場

目の前が黒海なのに、ソチ名物はなぜかニジマス

ソチ名物のニジマスの炭火焼き(時事)

 ソチ冬季五輪の舞台であるロシア南部ソチの料理は、カフカス地方独特のシャシリク(肉の串焼き)もおいしいが、何といってもニジマスが名物だ。スキー競技などが行われるクラスナヤポリャーナから黒海に注ぐムジムタ川に、ロシアでも1、2を争う規模の国営のニジマスの養殖場がある。

 市内のカフェで注文すると、大きくて立派なマスがこんがり焼きあがって出てきた。焼き方が上手なのか、フォークだけで身がきれいに剥がれる。臭みもなく、こくがある。

 目の前に黒海が広がっているのに、なぜかニジマス。同海沿岸のトルコ北部ではイボガレイが高級魚として珍重され、カタクチイワシを使ったピラフも有名なのだが…。

 この疑問を解くべくソチ中央市場に行ってみたが、カチカチに凍らせた極東産のカレイやシャケのほか、ニジマスの薫製などがあるばかり。黒海の魚は、塩漬けのカタクチイワシと「バラブリャ」という小魚の薫製だけだった。

 魚売り場のおばさんは「昔から黒海の魚は少なかったけれど、最近ますます取れなくなった。環境汚染のせいかね。イボガレイは資源保護のため禁漁。漁業船団もあるけれど、魚はみなモスクワに持って行っちまう」と話す。

 また、黒海の底には有毒な硫化水素がたまっていて、その化合物の黒い色から黒海という名前が付いたし、魚も少ないのだという。本当か…本当だとすれば、ソチの魚屋のおばさんは相当教養がある。(ソチ時事)