世界日報 Web版

池田晶子さんの夫「妻の頑張りを知ってほしい」


妻が京アニ放火殺人で犠牲に、青葉真司被告を恨まないで

池田晶子さんの夫「妻の頑張りを知ってほしい」

笑顔を見せる池田晶子さん=2019年4月19日、京都市東山区(池田さんの夫提供・時事)

池田晶子さんの夫「妻の頑張りを知ってほしい」

池田晶子さんが自身の結婚式に合わせイラストを描いたウエルカムボード(一部画像処理しています)(池田さんの夫提供・時事)

 京都アニメーション放火殺人事件の発生から2年となるのを前に、亡くなったアニメーターの池田晶子(本名・寺脇晶子)さん=当時(44)=の夫(48)が取材に応じた。子供に配慮し、これまでインタビューに応じてこなかったが、「頑張りを皆さんに知ってもらいたかった。晶子のことを覚えておいてほしい」と心境を明かした。

 池田さんはテレビアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」(2006年)や「響け!ユーフォニアム」(15年)でキャラクターデザインを手掛け、京アニの取締役も務めた。質の高い作画が高い評価を得ており、生み出したキャラクターは多くの人から愛された。

 庵野秀明監督のSFアニメ「トップをねらえ!」に触発され、アニメーターの道に。「親しみを持ってもらえるキャラクターをつくりたい」と、一つ一つのデザインにとことん向き合った。努力を惜しまず、休日もひたすらデッサンで腕を磨いた。「アニメでみんなに元気を与えたい。そして楽しんでほしい。それが晶子が描く理由だった」

 晶子さんは、経験を積み画力が向上しても、経済的不安から若者がアニメーターを続けられない状況を目の当たりにしてきた。「結婚、出産をしても仕事を続けられるよう、自分が何とかしなければ」。常にそう語っていたという。

 事件の発生は知人からの電話で知った。仕事を中断して現場の第1スタジオ(京都市伏見区)に向かったが、夜になっても晶子さんと連絡が取れず、駄目なんだろうと覚悟した。

 小学生の子供にどう前を向かせるか。事件後はそればかりを考えたという。発生から数週間は毎日子供と現場近くに通い、スナック菓子やコーヒーを供えた。子供は「ママありがとう」「ママたべてね」と付箋に書いて添えた。

 「自分が恨むと子供も恨むことになる」と考え、殺人などの罪で起訴された青葉真司被告(43)を恨まないよう自分に言い聞かせている。「子供に対して反省の弁がほしい」。そう静かに訴えた。