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35年前の小中監督デビュー作を今の若者感覚で


映画「星空のむこうの国」、ファンタジーなラブロマンス

35年前の小中監督デビュー作を今の若者感覚で

森昭雄を演じた鈴鹿央士(手前)とヒロインの理沙を演じた秋田汐梨 ©2021「星空のむこうの国」製作委員会

 相舞高校・天文部の森昭雄(鈴鹿央士)はトラックにひかれそうになり親友の尾崎誠(佐藤友祐)に助けられる。それから2カ月、見たことのない美少女が昭雄をじっと見詰め、何かを語り掛けてくるような夢を幾度となく見るようになる。ある日、下校途中に昭雄が乗るバスの向かいのバスに夢の中の少女を見掛ける。双方とも駆け寄り、少女が昭雄を抱きしめるとその瞬間、少女は忽然と姿を消してしまう。

 夢か現実か、昭雄はそのまま帰宅すると家には、自分自身の遺影が飾られていた。どうやら、自分が生きていた世界から交通事故で死んだもう一つの世界、パラレルワールドに入り込んだことを昭雄は知る。

 そこで、美少女の名は、坂口理沙(秋田汐梨)といい、ありし日の昭雄の恋人であったことを知る。そして、彼女は重い病気に冒されていた。理沙は、2カ月の間、ある約束を果たすために死んだはずの昭雄をずっと呼び続けていた。その思いが別の世界に生きていた昭雄に届き、パラレルワールドであるいまの世界に呼ばれた。昭雄は、約束を果たすため理沙を病院から連れ出すが、理沙の母親恭子(有森也実)や主治医の上田(川久保拓司)が連れ戻そうとする。理沙を連れ出した日は、33年に一度のシリウス流星群が地球に最接近する日でもあった。

 監督を務めた小中和哉監督が35年前に手掛けた商業デビュー作映画「星空のむこうの国」は、パラレルワールドといったファンタジーなラブロマンス作品が少なかったころに作られたもので当時としては珍しがられ、注目を集めたが、その後埋もれてしまった。

 その作品を、脚本はあまり手直しせずに小中監督が俳優陣に、「今の若者の感覚で演じてもらう」ことで、35年前とはまた違った捉え方もできる作品に仕上げている。また、35年前にヒロインを演じた有森也実が、今度はヒロインの母として登場している。

 7月16日より全国公開。

(佐野富成)