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「巻き込まれたら死ぬ」押し寄せる土砂から退避


土石流災害発生時に現場活動の消防隊員、当時の状況を語る

「巻き込まれたら死ぬ」押し寄せる土砂から退避

取材に応じる熱海市消防本部の杉野巧消防司令(右)と上田洋消防司令補=10日、静岡県熱海市(時事)

 静岡県熱海市で発生した土石流災害の発生時、現場にいた消防隊員2人が12日までに報道陣の取材に応じた。活動中に土石流に襲われ、必死で退避し難を逃れた2人は、「巻き込まれたら死ぬという恐怖があった」と当時の緊迫した状況を語った。
 2人は熱海市消防本部の杉野巧消防司令(48)と上田洋消防司令補(41)。3日午前10時半ごろ、伊豆山地区の住民から「向かいの家が地滑りで跡形もなく流された」と通報を受け、隊員計13人が救急車やポンプ車など4台に分乗して急行した。

 土砂で途中の道がふさがれ、現場への行き方を話し合っていた時、道を埋めていた土砂がゆっくりと動きだした。すぐに見渡せる限りの人へ避難を促し、来た道を引き返した。杉野さんが避難を呼び掛けるため酒店に入った瞬間、「ゴオーッ」という音が響き、建物を破壊しながら土石流が一気に押し寄せた。

 隊員らは走ったり車を後退させたりして、土砂の流れから外れた道路まで逃げた。運よく退避場所まで土石流は来ず、隊員らに被害はなかった。2人が土石流から逃げる様子は、ツイッターに投稿された映像にも残っていた。

 上田さんは「土石流の速さが一番恐ろしかった。車が斜面を下るよりも速い。自分たちの所に来たら全滅していたかもしれない」と振り返る。杉野さんは「隊員になってから熱海市で一番の災害。自然災害の恐ろしさを感じた」と語った。

 2人はその後、通常の消防業務や応援部隊への協力に当たっている。「市民のために引き続き全力で職務を遂行したい」と力強く話した。