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悲しみを癒やす父と娘の時間「わたしはダフネ」


前向きな言葉に励まされる、7月3日より全国順次公開

悲しみを癒やす父と娘の時間「わたしはダフネ」

監督がSNSで発掘したダフネ役のカロリーナ・ラスパンティ(写真左)©2019,Vivo film-tutti i diritti riservati

 夏の終わりの夜、野外のダンスパーティーで踊る髪をピンクに染めた女性ダフネ(カロリーナ・ラスパンティ)は両親と共に山間のキャンプ場で休暇を楽しんでいた。彼女はダウン症で、普段はスーパーで働くチャーミングな女性だ。

 休暇を終え、家路へ向かおうとした時、一家を悲しみが襲う。母・マリア(ステファニア・カッシーニ)が帰らぬ人となってしまった。涙に暮れるダフネを父・ルイジ(アントニオ・ピオヴァネッリ)はなだめようとするが、感情に従順なダフネは「煙草の吸い過ぎで息が臭い!」と言い放つ。

 マリアの葬儀後、元の日常を取り戻していくダフネに比べ、ルイジは喪失感と不安に押しつぶされそうになっていた。

 「もう働けない」と弱音を吐くルイジに、ダフネは「母さんに会いに行かない?」と提案。2人はマリアの故郷コルニオーロへ向けて旅をするのだった。

 ダフネに扮(ふん)するのは、フェデリコ・ボンディ監督がSNSで発掘したカロリーナ・ラスパンティ。映画は初出演。カロリーナ自身もスーパーで働いており、ダフネの人物像は彼女からインスパイアを受けている。脚本を読まず、等身大のダフネを演じた。全体を通してドキュメンタリーのような雰囲気を感じさせるのも、そのせいだろう。BGMがほとんど入らないことも、それを引き立てている。

 イタリアの穏やかな風景と、自分に正直で好奇心旺盛なダフネの前向きな言葉に、ルイジだけでなく観(み)ている側も励まされる。第69回ベルリン国際映画祭パノラマ部門国際批評家連盟賞受賞。昨年公開予定だったが延期、満を持して公開となった。公益財団法人日本ダウン症協会後援。厚生労働省社会保障審議会推薦。ザジフィルムズ配給。

 7月3日より、岩波ホールほか全国順次ロードショー。(辻本奈緒子)