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各地で相次ぐ学校侵入、現場の危機意識が重要


危機管理マニュアルの作成を義務付け、事件の風化の懸念も

各地で相次ぐ学校侵入、現場の危機意識が重要

大阪教育大付属池田小学校で行われた不審者侵入時の対応訓練。防具を着用した不審者役を、真田巧校長(左端)らで取り押さえた=5月27日、大阪府池田

 大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件後、全国の学校で危機管理マニュアルの作成が義務付けられた。ただ、侵入事件は各地でたびたび発生。専門家は事件の風化を懸念しており、「学校現場の危機意識を高めることが重要だ」と指摘する。

 「新しい先生が来ると、現場に連れて行き話をする」。昨年、池田小に着任した真田巧校長(53)は校内で唯一、事件を直接知る存在だ。当時は6年の担任で、校舎3階からうつぶせに倒れた教員や逃げ惑う子供が見えた。職員室に急いだが全く状況がつかめず、犯人確保後にようやく不審者侵入を知ったという。

 同小では事件後、正門に警備員が常駐し、フェンスには赤外線警報装置を設置。教室や廊下など約300カ所に非常ボタンが取り付けられた。年5回行われる訓練は、不審者役の侵入経路や居場所を教職員に伝えず開始。協力して発見し、さすまたで取り押さえる。真田校長は「情報交換や発信を通じ、他の学校でも学校安全を考える機会をつくる存在でありたい」と話す。

 現在は各学校での安全計画や危機管理マニュアルの作成が義務化されたが、池田小の事件後も学校侵入自体は食い止められずにいる。2003年には京都府宇治市の小学校で男が1年の児童2人を負傷させ、14年にも金沢市の小学校で、運動会の最中に刃物を持った男が侵入した。19年にはお茶の水女子大付属中学校で、秋篠宮殿下御夫妻の長男悠仁殿下(14)の机に刃物が置かれる事件も起きた。

 池田小を視察し、事件翌年に公表された文部科学省の危機管理マニュアル作成に携わった学校安全教育研究所の矢崎良明代表(68)は「事件後、門や玄関の施錠が広まったが、まだ十分実施されていない地域や学校もある」と指摘。事件を知らない若手教員が増えており「休み時間でも教室を子供だけにしないといった課題を忘れず、研修を通じて現場の危機意識を高めていくことが重要だ」と話している。