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「幻のランナー」、半世紀越しの思いを実現


台風で走ることができなかった男女10人が聖火をつなぐ

「幻のランナー」、半世紀越しの思いを実現

「56年目のファーストランの会」の仲間と共に聖火ランナーを務める中西鈴子さん(手前)=24日午後、兵庫県丹波篠山市(時事)

 1964年の前回東京五輪で聖火ランナーに選ばれながら、台風の影響で走ることができなかった男女10人が24日、兵庫県丹波篠山市の篠山城跡で聖火をつないだ。緊急事態宣言で公道での実施が中止され、無観客の短縮コースだったが、メンバーの中西鈴子さん(71)同県加古川市は「ようやく区切りがついた」と笑顔を見せた。

 中西さんは、同県西宮市立中学3年だった64年、卓球部で活躍していたことなどから聖火ランナーに選ばれた。同市内を走る予定だったが、台風接近で前夜に中止が決定。真新しいユニホームの出番はなかった。

 2020年大会が東京に決まり、悔しかった当時の思いがよみがえった。「チャンスがあるかもしれない」。同じように走れなかった元中高生らによる「56年目のファーストランの会」に参加して再挑戦を訴え、グループランナー枠で200メートル走れることになった。

 中西さんは「格好良く走る姿を見せたい」と、水泳や卓球などのトレーニングを週6日欠かさず、緊急事態宣言でスポーツジムが閉鎖されても公園でランニングを続けた。

 1年延期を乗り越えて迎えた本番。走ったのはわずか60メートルだったが、10人は小雨が降る中、順番にトーチをバトンパスした。中西さんは「同じ思いを持つメンバーと一緒に走ることができた。五輪開催ははっきりしないが、私としては二重丸です」と話した。