世界日報 Web版

オミクロン株と経済 慌てず経済対策に取り組め


《 記 者 の 視 点 》

 新型コロナウイルス感染の第5波をほぼ抑え込み、経済が正常化の歩みを始めたばかりの時に、今度は変異株「オミクロン」株の登場である。

 第5波は全国の新規感染者数でも2日は127人にとどまり、28県でゼロ。東京都は11人の感染で、1日当たりでは21日連続で30人を下回っている。

 緊急事態宣言が解除されて、各地の観光地をはじめ、繁華街にも人出が徐々に戻り始めた。通勤で利用する駅前でも、帰宅時の風景は様変わり。

 ちょっと前までは、シャッターが下りていた焼き鳥屋はほぼ満席で、客も店主とおぼしき店の人も笑顔が見える。戸を閉めて暗かった立ち食いの一杯飲み屋も、赤ちょうちんに灯がともり、そこそこ客が入って賑(にぎ)やかだ。やっと日常に戻りつつある感じだ。

 店の人や客人は、にわかに登場したオミクロン株をどう感じているのだろう。禁酒禁煙派で退社後は直、帰宅派の私は、こうした店にとってはただの通行人でしかないが、やはり、気になってしまう。

 感染が拡大しないで商売の妨げになってほしくない――飲食店などを営む人たちは、誰もがそう思うだろう。

 これまで約2年間にわたって、緊急事態宣言が繰り返し発令され、それに伴い、営業時間の短縮や自粛を迫られてきた。国や自治体から協力金は得られるものの、通常営業で得られる額からみれば、ないよりはましという程度だろう。営業ができることに越したことはない。

 これまでの経験から言って、感染拡大阻止は総力戦である。一般庶民はマスク、うがい、手洗いの基本的な感染対策を引き続き行うしかない。会食でのマナーも同様だ。

 もっとも、こうしたことがワクチン接種とともに、第5波が急速に小さくなり感染を抑え込んでいる大きな要因になっていると思う。政府の要請に基本的に従順な国民性もあるだろう。

 最前線に当たる水際対策は、政府の担当である。政府はオミクロン株発生を受け、11月末から外国人の入国を原則停止し、1日当たりの入国者数の上限を5000人から3500人に引き下げた。

 この関係で、国交省が航空各社に日本着の国際線の新規予約の停止を要請し、その後、撤回。在外邦人への配慮が足りなかった、と国交相が陳謝した。朝令暮改の非難は免れないが、緊急時の対応であり、誤りはすぐに改めた方がいいから、そう目くじら立てることもないだろう。政府には経験を生かし、しっかりと腰を据えた対応を望みたい。

 政府は長期化したコロナ禍で傷んだ経済を立て直すため、財政支出55・7兆円、民間支出などを含む事業規模78・9兆円の経済対策を決定した。

 大盤振る舞いとの批判はあるが、打撃を受けた事業者や家計にとっては大きな助け、励みになることは確かである。あとはいかに早く、また効果的に実施できるかである。

 当初、ワクチン接種の遅れにより、経済の回復が欧米よりも遅れ、後塵(こうじん)を拝してきたが、その欧米では感染が再拡大の傾向を見せ、規制強化の動きも出始めている。

 経済対策は、感染拡大の抑制が前提である。オミクロン株の未知さも徐々に解明されよう。慌てず、感染対策・経済再生に取り組んでほしい。

 経済部長 床井 明男