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期待されるイベルメクチン―大村智博士に聞く


期待されるイベルメクチン―大村智博士に聞く(上)

大村智博士大

大村智博士

 COVID-19(新型コロナウイルス)の感染拡大が進む中、わが国でも治療薬として有力視されるのが、2015年ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智博士が発見・発明したイベルメクチンだ。大村博士にその治療薬の威力について聞いた。(聞き手=編集委員・片上晴彦、報道本部・竹澤安李紗)

イベルメクチンは抗寄生虫病の特効薬だが、 新型コロナウイルスへの効果に気付いたのはいつごろか。

 昨年3月末、オーストラリアの知り合いから「イベルメクチンが新型コロナウイルスをやっつけるようだ。少し研究したらどうか」という情報が入った。その後、細胞レベルだが、新型コロナウイルスの増殖を防ぐという内容の論文が発表され、そして特に中南米を中心にたくさんの国の人たちが使って「効いた」という話が出てきた。

 また米国の医師団体FLCCCはこの間、いろいろと発表される薬を調べて「イベルメクチンが一番良い。なるべく多くの人が使えるように」として情報提供を始めた。FLCCCによると世界33カ国で50を上回る治験が行われ、次々と優れた効果が報告されてきている。

 そうした効果は予想できたことか。

 イベルメクチンは分類すると「マクロライド系抗生物質」に属している。これは私の専門分野だが、マクロライドは構造的に大環状のラクトン(注・エステル基を環内に含む化合物の総称)で構成され、いろいろな作用があることを私は経験してきた。それで今回、イベルメクチンに抗ウイルス作用があることが明らかになっても、私はまったく驚かなかった。「やはり抗ウイルス作用もあったか」という程度だ。

 先日、私の所にフランスの医師から論文が届いたが、それには「今、薬の世界でオリンピックをしたら、表彰台に立つのは3位がアスピリン、2位ペニシリン、1位はイベルメクチンだ」「(効能、多様性において)今の世界の薬ランキングだ」とあった。

パンデミック当初から、米国をはじめ各国ともワクチン開発を先行させたが、なぜか。

 ワクチンを接種すれば事態は収まると思っていたからだ。しかし簡単にはいかないことが、だんだんと分かってきた。一番良い例はインドだ。インドは一時40万人以上の感染者が出ていたが、突如、大幅に減っていった。イベルメクチンの治療薬が普及し、今はほとんど感染者増の山がない。インドで次々と起こっていることに関して学者たちが研究発表しているから、厚労省のお役人もよく研究されたらいい。

 もともと、インドはリンパ系フィラリア症という病気が蔓延(まんえん)していた国で、その特効薬がイベルメクチンだった。それで今、増産され、町の薬局でイベルメクチンを簡単に手に入れることができる。今回、国がこれを飲みなさいと方針を決めたとき、すぐ飲める状況にあったのが幸いしている。

 しかしワクチン接種の推奨だけにこだわり、イベルメクチンの使用を抑えている国も多い。

 それには三つ理由がある。一つ目は、今なるべくワクチンで感染拡大を抑えようとしているところにイベルメクチンが登場すれば、そちらへ人が流れてしまい、ワクチンを接種する人が少なくなってしまう恐れがあるからだ。私もそれは困る。

 やはりワクチンで防ぐ、病気にならないように打つ。しかしいろいろな事情でワクチンを打てない人、接種してもコロナにかかる人もいる。病気になった人に施すのが治療薬。その両方が必要だが、当局にはその意識が案外、薄い。

 二つ目は、ビジネスが関係している。大手の製薬会社でワクチンを製造している企業、それから新薬を開発している企業にとっては、イベルメクチンのような安い薬が出回ってしまえば、自分たちの薬が売れなくなると思っているからだ。

 三つ目は、WHO(世界保健機関)やNIH(米国立衛生研究所)が、イベルメクチンを使わせたくないと公言しているからだ。WHOやNIHなどは、大手の製薬会社から資金の援助を得て運営しており、安価なイベルメクチンで大手の製薬会社の利益がなくなると、運営資金が入ってこなくなる。そう言っているのがイベルメクチン推進派の見解だ。

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