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G7サミット これ以上結束を揺るがすな


 フランス南西部ビアリッツで先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれた。

 個別テーマの成果文書は発表されたが、当初から予想されたとはいえ、首脳宣言の採択は見送られた。

首脳宣言を採択できず

 議長国であるフランスのマクロン大統領は、首脳宣言採択よりも首脳同士の率直な議論を優先した。だが、自由貿易の在り方やイラン核問題、ロシアのサミット復帰論などでトランプ米大統領と他国首脳との溝は埋まらず、G7の亀裂を浮き彫りにした。

 安倍晋三首相は欧米の橋渡し役を担おうと歩み寄りを模索した。辞任を表明したイタリアのコンテ首相を除く各国首脳と会談したが、一致点を見いだすことはできなかった。

 前回のG7ではトランプ氏が孤立して「G6+1」とも表現された。ただ前回は、自由で公正な貿易の重要性を訴えた安倍首相の発言によって議論が収束に向かった。

 今回は、2014年のウクライナ南部クリミア半島併合でサミットから追放されたロシアについて、トランプ氏が復帰論を唱えたが、英独は「時期尚早」との立場を崩さなかった。各国は米中の貿易をめぐる対立に懸念を示し、自由貿易推進の重要性を訴えた。ただ、これに関しては中国の構造問題にも目を向ける必要があろう。

 G7はグローバルな主要課題の解決策について協議する場でなければならない。首脳間の議論に時間を確保することは当然だとしても、意見の隔たりが大きいことを理由に首脳宣言が採択されない事態は避けるべきであった。

 首脳間が合意する国際約束は大きな意味を持つ。首脳宣言採択見送りは、民主主義や法の支配などの価値観を共有するG7の結束の揺らぎを露呈し、中国やロシアの影響力拡大につながって付け入る隙を与えかねないことも認識すべきである。来年のG7議長国はトランプ氏率いる米国だ。G7の形骸化に拍車をかけてはならない。

 一方、日米首脳は貿易交渉の大枠で合意し、9月にも予定されている次回の首脳会談で署名を目指す方針を確認した。日本は牛肉や豚肉など米国産農産物に対し、昨年末に発効した環太平洋連携協定(TPP)の水準まで市場開放する。米国は工業品で譲歩し、幅広い品目で関税撤廃・削減に応じた。

 ただ、焦点の自動車では、日本が求めていた米国の輸入関税撤廃が先送りされたほか、日本車に対する追加関税の発動回避の確約を得るには至らず、火種が消えたわけではない。

 米国は安全保障上の脅威として、25%とみられている日本車への上乗せ関税を検討している。追加関税発動の判断は大統領の専権事項とされ、トランプ氏がどのように最終決断するか、予断を許さない状況だ。

追加関税回避確約させよ

 自動車業界にとって、米国は輸出額全体の3割以上を占める最大の輸出先だ。追加関税が適用されれば、国内経済や雇用への悪影響が避けられない。署名に向け、日本は発動回避を確約させるべきだ。