世界日報 Web版

海の日 恩恵に感謝し保全に努めよう


 きょうは海の日。「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」日である。世界の国々の中で、海の日を国民の祝日としている国は日本だけという。海洋国としての自覚を新たに、海洋をめぐる諸課題に取り組みたい。

プラごみが大きな問題に

 海洋は、地球規模の環境問題の最前線として改めてクローズアップされている。その中で最も問題となっているのが、海洋に流出するプラスチックごみである。紫外線や波で砕かれ5㍉以下になったマイクロプラスチックは、有害な化学物質を吸着し、それを魚が誤嚥(ごえん)して体内が汚染される。海洋プラごみの重量は2050年までに海の魚を上回るとの予想もある。

 この問題は大阪で開かれた20カ国・地域首脳会議でも重要議題の一つとなり、首脳宣言に海洋プラごみを50年までにゼロにするという日本提案の目標「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有すると明記された。今後、この目標を達成するための具体的な取り組みが問われてくる。日本政府は来年4月にもレジ袋を有料化する方針を打ち出したが、その動きは国際的に見ると早いとは言えないし、国民の意識も高くはない。

 ニュージーランドでは今月、スーパーなどでレジ袋の提供を禁止する法律が発効。台湾ではファストフード店などで使い捨てのプラスチック製ストローを提供することが禁止された。

 海洋汚染については、普段海に接する機会の少ない人々が切実さを実感することは難しい。大人たちにはメディア、子供たちには学校教育を通じて教えていく努力が求められる。

 その大前提として、人類、特に海洋国日本の国民が海からいかに多くの恩恵を受けているかを自覚する必要がある。これまでは海の大きさ故に、その浄化力を無限のように錯覚してきたが、そうではないことを知る必要がある。海への感謝の心を持って環境保全に取り組むべきだ。

 海洋は、世界各国の戦略的な角逐の最前線でもある。軍拡競争は宇宙やサイバーの分野に広がっているが、依然として海洋の重要性は変わらない。

 ロシア政府は海床を調査する原子力潜水艇で14人が死亡したと発表したが、米紙ワシントン・タイムズの安保専門コラムニスト、ビル・ガーツ氏によると、この潜水艇は海底で水中ドローンを使った特殊任務に関わっていたとみられ、大西洋や北極海に広がる約90万㌔の海底ケーブルから情報を傍受していた。世界のデータ通信のほとんどはこの海底ケーブルを通じて行われている。

 またホルムズ海峡では、日本などのタンカーが攻撃を受けるという事態も生じている。米国はタンカーを守るために、有志連合の結成を呼び掛けている。シーレーン(海上交通路)の安全は、日本にとって死活的に重要だ。その安全を守るために何ができるのか、海洋国としての姿勢が問われている。

海と共にある日本の繁栄

 四方を海に囲まれた日本の繁栄は、海と共にある。そのことへの自覚をもっと国民的に強めていく必要がある。