世界日報 Web版

露朝首脳会談、圧力弱める姿勢は無責任だ


 ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、極東ウラジオストクで初の首脳会談を行った。

 露朝首脳会談は2011年8月、メドベージェフ大統領(当時)と故金正日総書記が行って以来、約8年ぶり。今年2月のハノイでの米朝首脳会談が物別れに終わり、米朝が応酬する中、正恩氏としては国連安保理常任理事国であるロシアとの関係を深め、米政権を揺さぶる思惑があろう。

6カ国協議再開に言及

 プーチン氏は会談後の記者会見で、非核化問題について「北朝鮮は安全の保証と主権の維持を必要としている」と述べ、北朝鮮を擁護した。北朝鮮は非核化の条件として、米国が北朝鮮の独裁体制の存続を認め、軍事攻撃や政権転覆を行わないことの保証を求めてきた。露朝首脳会談でこの問題を取り上げたのは、完全な非核化の先行実施を要求する米国に、北朝鮮の「段階的な非核化」を認めさせる狙いだとみていい。

 米国は北朝鮮に対し、核計画の申告から廃棄に向けた非核化の工程表を求め、非核化が実現するまで制裁解除には応じない方針を維持している。しかし、北朝鮮が優先的に求める制裁緩和に理解を示すプーチン氏と正恩氏が接近すれば、国連制裁に基づく国際包囲網がほころび、北朝鮮に対する圧力が弱まりかねない。

 また、プーチン氏は北朝鮮が必要とすれば核問題をめぐる6カ国協議の再開もあり得るとの見解を示した。6カ国協議は北朝鮮の核問題を解決するため、北朝鮮と日米中韓露が03年8月に始めた多国間協議だ。05年9月には北朝鮮の非核化を明記した共同宣言を採択したが、08年末に決裂し、非核化を実現することはできなかった。

 結果的に、北朝鮮の核開発のための時間稼ぎに利用された形だ。6カ国協議を再開しても、非核化にはつながるまい。非核化は米朝交渉の枠組みの中で実現すべきだ。

 プーチン氏は中国で習近平国家主席と会談し、露朝首脳会談の結果についても習氏に伝えたとみられる。北朝鮮の「後ろ盾」である中露が結束を誇示した形だ。両国は今後、対北制裁の早期緩和などを米国に働き掛ける可能性もあり、警戒を要する。

 プーチン氏には北朝鮮への影響力を確保することで、北東におけるロシアの存在感をアピールし、米国を牽制(けんせい)する狙いがあろう。

 北朝鮮の核開発は安保理決議に違反しているはずだが、安保理常任理事国のロシアに北朝鮮の非核化を本気で実現しようとする姿勢は見られない。それは中国も同じだ。両国とも地域の大国として極めて無責任ではないか。

非核化まで制裁継続を

 正恩氏は北朝鮮の経済再建に力を注いでいるが、非核化を実現して国際社会の支援を受けなければ難しい。

 北朝鮮が完全、検証可能かつ不可逆的な非核化に向けて具体的な行動に踏み出すまで国際社会は制裁を続ける必要がある。日本は拉致・核・ミサイル問題の包括的解決のため、米国との連携を強化すべきだ。