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ブラックホール、国際連携での成功を喜びたい


 国立天文台などが参加する日米欧などの国際共同研究プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」が、世界各地の電波望遠鏡による観測で、史上初めてブラックホールを撮影することに成功した。

史上初めて撮影に成功

 ブラックホールは、アインシュタインが提唱した一般相対性理論に基づき、1916年にドイツの天文学者によって存在が予言された。だが、これまでは重力波の検出など「間接証拠」でしか存在を示せなかった。

 国際チームが今回、その姿を捉えたことで初めて「直接証拠」で証明できたことになる。プロジェクトに参加した本間希樹・国立天文台教授は「百聞は一見にしかず。100年かけて解こうとしてきたジグソーパズルの最後のピースが埋まった」と胸を張った。

 多くの銀河の中心には巨大なブラックホールがあり、銀河の形成に重要な役割を果たしたと考えられている。撮影成功が宇宙の成り立ちの解明につながることを期待したい。

 今回撮影したのは、地球から約5500万光年離れたM87という銀河の中心部にあるブラックホール。重力が非常に強く、光さえも脱出できないブラックホールの観測は非常に困難だ。一方、その周囲では重力で引きつけられたガスなどが円盤状になり、光の仲間であるさまざまな電磁波を放っている。

 約80の研究機関のメンバー200人以上で構成されたチームは、極めて高い視力を持つ望遠鏡で周辺の電磁波を観測し、ブラックホールを「黒い穴」として浮かび上がらせて撮影した。撮影には地球サイズの口径の望遠鏡が必要とされ、チームはチリ、米ハワイ、南極など世界8カ所の電波望遠鏡を一斉にブラックホールに向けて最大口径が約1万㌔の望遠鏡を仮想的に作り上げた。国際連携で壮大なプロジェクトが成功したことは喜ばしい。

 チームは画像を2年かけて解析し、多くのことが明らかになった。ブラックホールの重力によって空間がゆがみ、遠くの光が曲がる「重力レンズ効果」を補正して計算したブラックホールの半径は約200億㌔。ほぼ太陽系のサイズに匹敵する。

 観測データから再現した画像でオレンジ色に見える輪は、ブラックホールに吸い込まれるガスが60億度以上の超高温になったものだ。輪の直径は1000億㌔で、これを元に計算したところ、ブラックホールの質量は太陽の65億倍であることが分かった。ブラックホールは自転している可能性もあるという。

 課題も残った。ブラックホールの近くから高速のガスなどが吹き出す「ジェット」と呼ばれる現象の撮影だ。

 今回は捉えることができず、チームは今後、電波望遠鏡を増やして能力を向上させる計画だ。さらに鮮明な画像の撮影が待たれる。

日本人の活躍に期待

 チームには約20人の日本人研究者が参加し、それぞれが重要な役割を果たした。M87のブラックホールの位置を突き止めたのも日本人だ。

 他の分野の国際研究プロジェクトでも活躍を期待したい。