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米中安保会合、対話優先では北は変わらない


 米中の閣僚級による新たな協議の枠組みである「外交・安全保障対話」の初会合がワシントンで開催された。

 中国に圧力強化求めた米

 核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮をめぐって、会合に出席したティラーソン米国務長官は「中国はより強い経済的、外交的圧力をかける責任を負っている」と強調した。

 これに対し、対話を優先する中国は会合で、北朝鮮が核実験やミサイル発射を凍結する代わりに米韓軍事演習を中止するよう提案。中国外務省は「中国は他国に経済的、外交的圧力をかけない。核問題解決のカギは中国にはない」と表明した。

 中国は2月、北朝鮮産石炭の輸入を停止した。だが、北朝鮮の主要輸出品の一つである鉄鉱石は、今年に入って中国の輸入が急増している。

 国連安全保障理事会の対北制裁決議は鉄鉱石輸入を禁じているが、「生計目的」の取引は例外としている。中国はこの例外規定を根拠に、北朝鮮を事実上、支援しているとの指摘もある。決議の趣旨に反するものであり、安保理常任理事国としての責任を放棄するものだ。

 北朝鮮が弾道ミサイル発射を繰り返すのは、こうした中国の対応に原因があるとみて米国は苛(いら)立ちを強めている。トランプ米大統領は、中国の北朝鮮問題への取り組みについて「結果が出ていない」とツイッターで指摘した。

 中国は北朝鮮を追い詰めて金正恩体制が揺らいだ場合、難民が自国に流入することを懸念している。しかし、対話を優先する姿勢では北朝鮮の核・ミサイル開発を止めることはできまい。北朝鮮の核・ミサイルは周辺諸国にとって大きな脅威となっており、中国は地域の安定に向けて影響力を行使しなければならない。

 中国は習近平指導部の2期目が発足する共産党大会を秋に控え、米国との関係安定を外交上の最重要課題としている。しかし今回の会合では大きな成果が得られず、今後の米中関係が不安定化することも考えられる。

 会合では、安保理の全ての対北制裁決議を完全に履行し、米中両国の企業が制裁対象となっている北朝鮮企業などと取引を行わないことで一致した。米国は北朝鮮と取引を続ける中国企業の取り締まりを中国に求めている。

 対応が不十分な場合、米国はもちろん、日本や欧州などもこうした中国企業に独自制裁を科して中国を対北圧力強化へと動かす必要がある。

 米国は2005年、北朝鮮が資金洗浄に利用しているとしてマカオの金融機関「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」と米金融機関との取引を禁止し、北に大きな打撃を与えた。こうした金融制裁も行うべきだ。

 南シナ海問題黙認するな

 会合では南シナ海問題をめぐって、米側が中国による軍事拠点化に反対し、中国の拠点近海に艦艇を派遣する「航行の自由作戦」を今後も継続する方針を確認した。

 北朝鮮に対する制裁への協力を得るため中国に配慮し、一方的な現状変更を黙認することがあってはならない。