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日韓防衛協定、「反日」超え今度こそ締結を


 北朝鮮の脅威などに備える日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結に向け、韓国政府が日本政府との協議を再開する意向を明らかにした。北朝鮮が核弾頭を搭載した各種弾道ミサイルによる攻撃の能力を高める中、日韓はGSOMIAを一刻も早く締結すべきあり、協議再開を歓迎する。

2度の核実験が影響

 GSOMIAは相互に提供される防衛機密の第三国漏洩(ろうえい)を防ぐ保全などに関する協定。日韓間で締結された場合、日本は韓国側が得意とするヒューミント(人を介した諜報(ちょうほう)活動)による各種の情報を、また韓国は日本側が把握している衛星情報や戦術データなどをそれぞれ得られるようになる。

 これまで日韓はいずれも米国との同盟関係を基に北朝鮮の脅威に対抗し、相互協力も米国を介して行ってきた。協定が結ばれればじかに情報共有できるようになり、情報の質の高まりや円滑な交換で対北抑止力の向上が見込まれている。

 日本は再三にわたり韓国にGSOMIA締結を呼び掛けた。しかし、韓国国民には日本と防衛協力することへの抵抗感が根強い。それに加え、安倍晋三政権下での安全保障関連法成立などの動きを感情的に「右傾化」と決め付ける向きもある。

 今回、韓国が日本の要請にようやく応じたのは、今年に入って2度も強行された北朝鮮による核実験と各種弾道ミサイル発射が影響しているようだ。ミサイル迎撃システムで後れを取る韓国としては日本との協力は欠かせないはすだ。

 韓国は今後、GSOMIAと共に延期された物品役務相互提供協定(ACSA)の締結も急ぐ考えだという。

 韓国は2012年の李明博政権時にも日本とのGSOMIA締結を進めたが、「反日」世論に阻まれて締結直前で白紙化された苦い経験がある。今回は年内締結を目指すとしているが、「反日」を超えなければ同じ轍(てつ)を踏みかねない。

 現在、朴槿恵政権は知人への機密流出問題で窮地に立たされている。国民の間には景気回復感も乏しく、直近の世論調査では支持率が過去最低の17%にまで落ち込んだ。与党が過半数割れしている国会で同意を取り付けることは簡単ではなく、来年の大統領選をにらみ与党内でも離反の動きがくすぶっている。

 こうした逆風下、本当に国益優先で日本との防衛協力を進められるのか。指導者としての覚悟が問われよう。

 日本も韓国をいたずらに刺激しないことが大事だ。いわゆる従軍慰安婦問題をめぐる昨年末の日韓合意とこれに伴う在ソウル日本大使館前の少女像撤去問題で韓国政府は反対世論に神経をとがらせている。韓国の国内状況を日本の立場から必要以上に批判するのは対北朝鮮をめぐる日韓協力を阻害しかねない。

開発の手を緩めぬ北

 国際社会の非難や制裁にもかかわらず北朝鮮は核・ミサイル開発の手を緩めずにいる。過去の歴史認識が壁となり、今そこにある北朝鮮の脅威に対抗できないという愚を犯してはならない。日韓はGSOMIA締結を急ぐべきだ。