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IOC決定、真の解決につながるか疑問


 国際オリンピック委員会(IOC)は、国家主導のドーピングが指摘されたロシアの選手のリオデジャネイロ五輪出場について、各国際競技団体(IF)の条件を満たした選手は認めることを決めた。

 露リオ出場全面排除せず

 IFの適切なドーピング検査を受け、潔白であることを証明するなど厳しい条件が付くものの、ロシア選手団はリオ五輪からの完全な排除を免れた。IFによってはロシアの存在が外せないという事情もあり、IOCは五輪に欠かせない大国との対立を回避した形だ。

 ロシアのペスコフ大統領報道官は、IOCの決定について「好ましい決定と受け止めている」と述べた。だが、真の解決につながるのか疑わしい。

 ドーピング問題をめぐって、ロシア陸連は国際陸連(IAAF)から資格停止処分を科された。スポーツ仲裁裁判所(CAS)は今月、ロシア陸上選手全てが原則として国際大会に出場できないことを不服としたロシア68選手の訴えを棄却。IAAFが認めた2人以外はリオ五輪に出場できなくなった。

 IOCの決定で、陸上以外のロシア選手は、条件をクリアすれば五輪参加が認められる。IOCのバッハ会長は「今回の決断は、組織全体の責任と個人が持つ正当な権利とのバランスを取るものだ」と説明。不正と無縁の選手に連帯責任を負わせることを避けた。

 しかし、ロシアのドーピングは極めて深刻な問題だ。世界反ドーピング機関(WADA)の調査チームは今月、ロシアのスポーツ省が主導したドーピング不正と隠蔽工作が、2011年から15年にかけて行われていたとする報告書を公表。14年ソチ冬季五輪・パラリンピックでは検査機関で尿検体がすり替えられていたと指摘した。

 問題の根底には、スポーツや五輪を国威発揚の場と見なし、手段を選ばずに勝利を追求する歪んだ国家体質がある。ロシアのドーピングは、社会主義の優越を西側世界に示そうとした冷戦時代から行われてきた。1980年代に旧ソ連や東ドイツの選手がハンマー投げや円盤投げなどで打ち立てた世界記録も、ドーピングによるものと疑われている。

 確かに五輪出場を目指して猛練習し、ドーピングも行っていない選手に連帯責任を負わせることは気の毒だ。しかしロシアの国家ぐるみのドーピングに曖昧な対応を取れば、競技の公平性に絶えず疑惑の目が向けられ、ロシアの選手だけでなく、五輪の価値も損なわれよう。

 WADAのクレイグ・リーディー会長は、IOCの決定について「失望している」との声明を発表した。IOCはやはり、ロシアのリオ五輪参加禁止を決断すべきではなかったか。

 不正は自らの首を絞める

 ロシアでは18年にサッカー・ワールドカップ(W杯)の開催を控えているが、国内の反ドーピング機関の信頼性が大きく損なわれた中、開催を疑問視する声も上がっている。

 失われた信用を回復することは簡単ではない。ロシアは、不正が自らの首を絞めることに気付くべきだ。