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高浜原発、認めた新規制基準の合理性


 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の再稼働差し止めを命じた仮処分について、福井地裁(林潤裁判長)は関電の異議を認め、取り消す決定をした。

 これにより、関電は同3号機の原子炉に核燃料の搬入を始めており、来年1月末の、また同4号機については2月下旬の再稼働を目指す。鹿児島県の川内原発1、2号機に続いての再稼働に期待したい。

再稼働反対派に打撃

 今年4月、福井地裁では樋口英明裁判長(当時)が、新規制基準について「緩やかにすぎ、合理性を欠く」と再稼働を差し止める仮処分決定を出していた。

 これに対し今回の保全異議審で、林裁判長は「新規制基準の内容や、原子力規制委員会の判断に不合理な点はない」と判断。「(3、4号機の)安全性に欠ける点はない」と述べた。

 4月の決定では、耐震設計の基本になる「基準地震動」(想定される最大の揺れ)に関し、過去に全国4原発で超える揺れがあったとして、新規制基準そのものを否定した。しかし林裁判長は「規制委で専門的・技術的知見に基づき、中立公正な立場で審査する枠組みが採用されており、内容は合理的だ」と認めた。原発の安全審査については、過去「行政の判断を尊重する」という最高裁判決が出ており、それに沿った判断である。

 そもそも4月の時の決定では原発の基礎知識を欠いた間違いが随所に見られ、その一つが基準地震動についての見解だった。林裁判長はこの点の誤りも明確に指摘した。

 福島第1原発事故後、原発の運転差し止めなどを求めて起こされた訴訟や仮処分申請は、全国の14原発を対象に30件近くある。だが今回の決定で、再稼働反対派の言い分は否定された。

 その一方で林裁判長は、「福島原発事故の深い反省と、『安全神話』に陥らない真摯な姿勢で、高いレベルの安全性を目指す努力の継承が望まれる」とし、新規制基準に合理性が認められるのは、原子力事業者が常に最新の安全性を追求し、規制委が独立して審査する枠組みが機能することが前提だと指摘した。原発関係者は、深く肝に銘じる必要がある。

 福島原発事故後、原発の安全性に関し、事業者はもちろんのこと、行政、裁判所そして国民すべてが関心を持ち、監視していく体制が次第に整ってきている。今回の保全異議審は、その一つだった。既に、地震、洪水など自然災害の防災事業では、ハザードマップ作りや避難訓練などが充実している。原発の防災についても、わが国は「安全文化」で世界トップを目指す活動をしていくべきだ。

 関電は再稼働後、電気料金を早期に引き下げ、2度の値上げで失った価格競争力や顧客の信頼を取り戻す考えだ。これは消費者にもありがたいことだが、産業界にとっても朗報であり、歓迎したい。

地方経済活性化の契機に

 また地元では、雇用の促進や景気回復を期待して、原発関連業界だけでなく、小売店などでも再稼働を願う声が少なくない。再稼働を地方経済の活性化につなげたい。

(12月27日付社説)